港北どうぶつ病院 新井 勇人 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.007

内視鏡と豊富な経験を駆使した、開腹しない異物摘出
消化器系疾患
内視鏡と豊富な経験を駆使した、開腹しない異物摘出
港北どうぶつ病院
  • 新井 勇人 院長
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横浜北部にある小さな動物病院に、東京、静岡、埼玉、千葉、茨城など遠方から次々と患者が集まっている。どの患者も境遇は同じ。異物誤飲して近隣の動物病院を受診したところ開腹手術を勧められたが、「開腹せずに何とかして欲しい!」と藁にもすがる想いで訪ねてくるという。そんな願いに次々と応えているのが「港北どうぶつ病院」院長の新井勇人先生だ。救急医時代に無数の異物誤飲症例に対応した経験値と様々な器具を駆使して、これまで摘出不可能と言われた異物も次々と開腹せずに摘出し、日帰り退院させている。開腹を望まないオーナーの切実な想いに応えるため、日々内視鏡をふるう新井先生にお話を伺った。(取材日 2025年1月8日)

「気軽に『開腹』って言わないで!」というオーナーの想いに応えたい

― 遠方からの来院も多いと聞きました。新井先生の取り組みについて教えてください。

内視鏡は細長いカメラを口やお尻から入れて体内を観察する医療機器で、本来の使い方は胃や腸に病気が無いかを調べるものです。私はそれに様々な摘出器具を併用して、動物に多い異物誤飲事故に対応しています。お腹にメスをいれる開腹手術をせずに異物を摘出できるので、オーナーの皆様に大変喜ばれています。

― 内視鏡を所有している動物病院は珍しいのですか?

ある業者の概算によると、内視鏡がある動物病院は全体の約10%だそうです。多くはありませんがネットで検索すればいくらでも見つけられます。それでも他県からの来院が多い理由は、内視鏡での異物摘出にこだわりを持って取り組んでいる動物病院が他にあまりないからだと思います。
多くの動物病院にとって、内視鏡での異物摘出は必須の技術ではありません。なぜなら内視鏡で摘出できなくても開腹すれば摘出できるからです。内視鏡での異物摘出は“成功したらラッキー”ぐらいの位置づけで、できなくてもそんなに困らないんですよ。ですから、日々の診療や自己研鑽で忙しい獣医さんの中には、「なんとしても内視鏡で異物を摘出するぞ」と情熱を傾ける人があまり多くないのだと思います。

― しかし動物もオーナーも、開腹手術はなんとしても避けたいのでは?

私が内視鏡での異物摘出に力を入れようと思った契機は、正にそこです。夜間救急で10年近く勤務して、その間に何千という異物誤飲を診察してきました。「他院で『開腹手術しかない』と言われたが、どうにかならない?」と来院する人も多く、私が開腹せずに内視鏡で摘出すると多くの人が涙を流して喜んでくれました。同時に「開腹って気軽に言わないでほしかった」と憤慨もしていました。オーナーが価値を置いていることを獣医療従事者がどれだけ軽視しているか、両者の間にはこんなにもすれ違いがあるのか、と思わされる体験でした。

― それが先生の内視鏡への情熱の原動力になっているのですね?

自分の家族に置き換えて想像してください。医者からサラっと「開腹手術すれば解決しますよ」と言われて「じゃ、お願いしま~す」と言えますか? 私なら「開腹以外の方法は無いんですか!?」と食い下がります。ペットも家族の時代ですからね。「内視鏡でダメなら開腹すればいいや」ではなく「絶対に開腹せずに摘出するぞ」という気持ちで、私は内視鏡に取り組んでいます。

内視鏡は経験の蓄積がすべて。必要の無い開腹手術を一件でも減らしたい

― 心構えの違いは判りました。しかしなんだか精神論的というか……。

気合いをいれて内視鏡をするだけで何でも摘出できるのか、ということですよね。正直、私だけができる“超絶技巧”のようなものはありません。しかし救急医時代に数をこなし多くの失敗と試行錯誤を重ねた経験と、あとはそれを遂行するために必要な器具の充実ですね。「内視鏡はあるけど摘出できる器具がないから開腹しかない」とか「仔犬に入れられる細いサイズは無いので開腹しましょう」と言われたとか、そういった理由で転院してくる人も多いのですが当院は全て対応しています。

― 長く救急医としてご活躍された経験が活きているのですね。

それは大きいですね。自動車の教本を読み込んでも運転が上手にならないのと同じで、内視鏡の技術は教科書を読んでも絶対に上手くなりません。いかに数をこなして、イレギュラーな事例も含めて経験の蓄積があるか、それがすべてです。その意味では、街の動物病院勤務では絶対にできない、本当に貴重な経験を積んだのだなと感じます。

― ちなみに摘出率はどの程度なのでしょうか?

当院では約95%ですが、これは私が魔法のようにどんなケースでも摘出できるからではありません。事前の診察や検査で可能性が無いと判定したものは、そもそもやらないからです。この事前の見極めが何より大事です。
残りの5%は何かというと、「内視鏡では難しそうだけど、もしかしたら……」という微妙なケースです。そのような時、私は「チャレンジさせてください」とお願いします。その結果、摘出できることもあるし、ごめんなさいダメでしたということもあり、その5%です。
それから私は、開腹手術を全否定している訳ではありません。むしろ内視鏡では不可能で開腹すべきだと判定した場合は、正直にそのように伝えています。しかし、本当は開腹せず解決できるのに開腹されてしまう事例が世の中に多くあるのもまた事実です。そのような犬猫を一頭でも減らしたいですね。

ドクターからのメッセージ
  • 新井 勇人 院長

獣医療の専門家ではないオーナーの皆様は、専門家である獣医師から「開腹するしかない」と言われたら、そういうものかと思ってしまうかもしれません。しかし本当にそうでしょうか? 内視鏡を持っていないのに、経験も少ないのに、「開腹しかない」というその判定は正しいのでしょうか?
本当に選択肢は開腹だけなのか——そんな疑問が払拭できないのであれば、後悔する前に当院へご来院ください。お力になれるかどうかは診察させていただかないと判りませんが、開腹せずになんとかしてあげたいというあなたの想いは良く判ります。そんな想いに寄り添い、最大限できる提案をさせていただく所存です。

内視鏡と豊富な経験を駆使した、開腹しない異物摘出
内視鏡と豊富な経験を駆使した、開腹しない異物摘出

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住所
神奈川県横浜市都筑区大棚町3004−1
電話番号
045-620-5550
最寄駅
センター南駅、センター北駅
アクセス
横浜市営地下鉄「センター南」駅より徒歩6分
横浜市営地下鉄「センター北」駅より徒歩8分
駐車場
あり(7台)
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター フェレット
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 けが・その他 軟部外科