旭川市の「1.5次診療病院」。人と動物の幸せなくらしのために
高度な医療に身近な相談まで、「寄り添う診療」を人と動物へ提供。複合施設「ハルニレほっぽ」も魅力です。
- 斉藤 孝晃 副院長
- 和田 みさと 愛玩動物看護師
頼れる獣医が教える治療法 vol.084
目次
心臓病にもいろいろな種類がありますが、猫で最も発生率が高いのは「肥大型心筋症」です。心臓の筋肉が肥大していき、動きが徐々に悪くなることで症状が現れます。発症する年齢は6歳以降の中高齢、猫種についてはメインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどが多い傾向にはありますが、年齢・猫種を問わず発症します。この病気の恐ろしさは、症状がわかりづらく、初期段階に至ってはほとんど症状が現れないところです。病気が進行すると胸水や肺水腫により呼吸困難になったり、食欲が低下して体重が減ったりしますが、そうした症状が出た段階では手遅れのケースも少なくありません。かつて私が飼っていた猫も、ある日突然呼吸が早くなり、急いで検査したところ胸水が確認され、その日のうちに亡くなってしまいました。
猫の肥大型心筋症において、最も恐ろしいのは血栓症です。血栓ができてしまうと猫は強い痛みに襲われるほか、脚に力が入らず立てなくなってしまうといった特有の症状が現れます。突然死も珍しくありませんので、血栓ができる前に異変を見つけ、治療を開始することが重要です。また、胸水や肺水腫になると飲み込むことが困難になり投薬も難しくなるので、それらを発症する前に利尿剤や血圧のお薬を用いて速やかに治療を開始することも大切です。心臓病は基本的に完治しない疾患ですので、治療の目的は進行を止める、あるいは遅らせることになります。血栓、胸水、肺水腫といった症状が出る前に早期発見し、早期治療に繋げることが求められるのです。
残念ながら、心臓病には「こうしていれば防げます」という明確な予防策はありません。ですから飼い主さんにできることは、定期的な検診を行い、心音の変化を少しでも早く見つけることです。当院では、聴診や超音波検査を組み合わせながら心臓を慎重にチェックし、早期発見・早期治療に繋げています。ちなみに聴診や超音波検査は獣医師にとって基本的な診療行為ですが、病変を見つけられるかどうかは技術や経験によって左右されるものです。私は、うちの子のような悲しいケースを減らしたいという思いから、猫の心臓病治療を深く追求してきました。心音の聞き方、超音波の当て方に独自のノウハウを有しておりますので、少しでも気になることがあればご相談いただきたいと思います。なお、呼吸が速くなる、突然立てなくなる、怪我がないのに痛みで大声を上げるといった症状が見られたら、緊急事態ですので速やかに動物病院へ連れて行ってください。
猫は環境の変化に対して非常に敏感です。病院という慣れない場所で、さらに近くで犬が吠えている状況でのストレスは想像に難くありませんし、飼い主さんもご心配でしょう。そこで、当院では犬と猫で診察室・待合室を分け、ペットにとっても、飼い主さんにとっても、安心して通える病院をめざしています。
また猫にストレスを与えないことは、診療においても大きなメリットがあります。猫が怯えてしまうと、ケージから出てこなかったり暴れ回ったりして、必要な診療が出来なくなってしまいます。しっかりと診させていただくためにも、空間を分けることは重要なのです。
当院は、犬猫の心臓病をはじめとする比較的高度な内科医療を得意としています。一方、グループ内には外科を得意とする病院や、鳥類、ウサギ、ハムスター、モルモットといったエキゾチックアニマルに幅広く対応している病院もあり、お互いの得意分野を生かしながら連携する体制を整えています。
また当グループでは、ペットのケアやしつけの専門家による教室を定期的に開催しており、飼い主さんのさまざまな悩みや困り事にお応えしています。そうした医療以外の面でお力になれることも、私たちの強みといえるでしょう。
動物医療のレベルは日増しに高まっており、それ自体は素晴らしいことなのですが、だからこそ医療が過剰にならないよう注意する必要があると考えています。大切なのは「どうすればペットや飼い主さんが幸せになれるか」であり、その答えは飼い主さんとの話し合いのなかにあります。これからも丁寧なコミュニケーションを心がけ、ペットとの幸せな暮らしを応援していきたいですね。
高度な医療に身近な相談まで、「寄り添う診療」を人と動物へ提供。複合施設「ハルニレほっぽ」も魅力です。
犬猫別の入口、専用待合室と診療室を備えつつ、森の中のような環境でお待ちしています。往診も対応します。
予約診療制で時間をかけてじっくり対話し、飼い主様と動物の立場で診療することを大切にしています。
緑の森どうぶつ病院 さっぽろ病院 地図を見る
猫に多い心臓病「肥大型心筋症」は、予防も完治もできません。検診により、症状が出る前に発見しましょう。
高度な医療に身近な相談まで、「寄り添う診療」を人と動物へ提供。複合施設「ハルニレほっぽ」も魅力です。
初期には無症状であることも多い、犬や猫の肝疾患。血液検査や画像診断、腹腔鏡下での検査が有効です。