新井 勇人院長 港北どうぶつ病院 | ドクターズインタビュー

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街の頼れる獣医たち vol.004
港北どうぶつ病院新井 勇人院長
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整然と区画された広く美しい街並みに巨大なショッピングモールが林立する横浜市の港北ニュータウン。その中心にセンター南駅はある。今、駅の近くにできたばかりの小さな動物病院が大きな話題を集めている。「港北どうぶつ病院」は市内最大、全国でも有数の規模を誇る夜間救急病院で長く院長として活躍した新井勇人先生が満を持して設立した動物病院だ。院長先生の経歴から救急医療に特化した専門病院かと思いきや、目指しているのは街のホームドクターだという。しかし「他と同じが大嫌い」という院長先生が次々と繰り出す仰天の発想や試みは他の病院とは一味も二味も異なる印象だ。一聴すると奇をてらうようなアイデアも、実は何よりも動物とオーナーの目線に立っていることに驚嘆させられる。そんな院長先生のこだわりについてじっくりとお話を伺った。(取材日 2016年11月24日)

動物病院業界の常識を疑いそれに挑む。ロックスピリット溢れる動物病院!?

―まず、港北どうぶつ病院の特徴を教えて下さい。

動物病院業界の既成概念や暗黙の了解みたいなものをぶっ壊そうと挑戦している病院です。
「ぶっ壊す」なんていうとロックな感じで、突飛な病院を想像されてしまうかもしれませんが、そういう病院ではありませんよ。待合室に一歩入って頂ければ感じてもらえたと思いますが。

―そうですね。清潔で落ち着いた空間で、決してロックなテイストは感じませんでした(笑)

別に奇抜なことをやりたいわけではないのです。この業界にいて、そんなことが当たり前にまかり通っているっておかしくないか?と私が感じたことを一つずつ変える作業をしているだけです。
例えば、待合室を例に挙げると、動物病院なんて待合室は狭くて、少しくらい汚れて臭いのはしょうがないでしょ?という動物病院側の甘えを私は許せません。だから充分なスペースを確保し、絶対に臭くない、クレンリネスの行き届いた快適な空間を造ることに異常な程気を遣っています。

―なるほど。他にも病院の姿勢や意識の面でも色々と挑戦していると伺いましたが?

最近の動物病院は「いつでも遊びに来て下さい」みたいな気軽なイメージ造りがトレンドになっていますが、あれも私は首をかしげてしまいます。動物病院側の視点で言えば、これからは予防医療が重視される時代で、それには来院回数を増やしてもらうことが欠かせません。だから気軽に来院できるイメージ造りという発想はわからなくないのですが、そういう気安い姿勢は意識の低下、医療の質の低下に繋がりますし、オーナーの視点に立ってみると「用もないのに病院になんて遊びに行くわけないじゃないか」って私なら思ってしまいます。病院というのは予防にせよ治療にせよ、なんらか病気に関わる動物を連れていく場所ですよね?「気軽に遊びに行く場所」ではなくて「行かなくていいのなら行きたくない場所」ではないですか?そしてだからこそ、そこに連れて来られた動物と不安を抱えてわざわざ来院されたオーナーに対して最良の対応で迎える必要があるというのが当院のスタンスです。
また、医療はサービス業じゃないんだから接客に重きを置くことは邪道というような考えがいまだ根強いですが、これも当院が挑んでいることの一つです。私に言わせれば、むしろ生命に向き合う真剣な現場だからこそ、スタッフの身だしなみやホスピタリティにもサービス業以上の最大限のものを提供しなければなりません。私は常々スタッフに言っているのですが、リッツ・カールトンやフォーシーズンズ、帝国ホテルなどに匹敵するホスピタリティをオーナーに提供したいと考えています。

―ロックとはむしろ真逆な感じですね。

結果的にはそうかもしれません。病院とホテルリゾートでは色々と性質が違うことはわかっていますし、まだまだ大きな差がありますが、親切さや気遣いの度合いとして目指すべきはそのレベルであり、意識して近づく努力をしなければ、その距離が縮まることはないですからね。

早朝診療で社会人として真面目に生活するオーナーをサポートしたい

―他にはどのような試みをされていますか?

例えば診療時間ですね。オーナーが出勤前に早起きして動物の異変に気付く。でも病院はまだやっていないし仕事も休めないしどうしようと悩みを抱える人が結構いるんじゃないかな?という考えから、当院は朝7時から診療を受け付けています。出勤前に連れてきてもらって、具合が悪ければそのまま預けてもらうことも可能です。そのほうが安心ですからね。
でも早朝に駆け込んだ病院が薄汚くてスタッフの態度も悪かったら、安心して預けて仕事にも行けないですよね?だから待合室やホスピタリティなどの細部まで気を遣わなくてはいけないのです。

―第一印象が大切ということですね。

とても重要です。しかし他にもホスピタリティを重視する理由があります。実は診療の精度をあげる手段でもあるんですよ。なぜなら身体検査などで動物から得られる情報も大切ですが、オーナーから聞き取る情報も同じ位大切です。ですから不安なく、安心できる気持ちの良い対応や環境造りに尽力することでオーナーと信頼関係を築き、良いコミュニケーションが取れれば、情報量が増し、治癒率の向上にも繋がるのです。
もう一つ理由があって、実はこれがシンプルかつ一番の理由なのですが、病気の動物たちが元気になってくれるのを見るのと同じくらい、真面目にうちの病院を信じて通ってくれるオーナーに対して、予想を上回る感動を提供して喜んでくれる顔を見るのが私は単純に大好きなんです。

―おもてなしの心ですね。

そうです。私は身体がデカくて声も低い上に動物のためと思ったらオーナーにとって耳障りなことでもハッキリ言ってしまう性質なので、どうしても少し構えられてしまうことが多いのですが、実は結構どうしたら相手が喜ぶかということばかり考えているんですよ。そしてスタッフたちも、他人の喜びが自分の喜びになる、そういうおもてなしの意識を持てる人しか採用していません。

―ホスピタリティの概念がスタッフ間の共通認識になっているということですね。

その通りです。他の病院で勤務経験がある人は当院で働くと、今までの病院との意識の違いに最初は戸惑いますね。しかしそこを乗り越えてくれた今のスタッフは皆本当に良くやってくれていて、当院の理念を体現してくれています。なぜそういう意識の統一が可能かというと、動物病院スタッフの長時間労働、低賃金、サービス残業などが当たり前の業界体質にも挑戦していて、短時間で意識の高い仕事をしてくれる人は、それにちゃんと見合った報酬が得られる雇用体系、給与システムも構築しているので、そういう面でもやりがいを感じてくれているからだと思います。

治す病院か治せない病院か。一番の差は技術でも知識でもない。それは…

―ところで肝心の診療についても、もう少しお話していただけますか?

ハッキリ言ってしまいますが、私の獣医師としての技量は並です。救急に長くいたので、その分野に多少の強みはありますし、そこで多く経験した内視鏡の技術も売りにはしていますが、天才的テクニックを持っているとかでは全然ありません。
よく考えてみて下さい。極一部のその人しかできない手術テクニックとか、診断技術などを持っている人なんて恐らく獣医師全体の1%にも満たないですよ。今どき獣医学の教科書を見れば、こういう症状の時に疑うべき病気はこれとこれで、それを判別するにはこの検査で、診断がついたら治療法はこうで・・・、といった具合に、よほどの奇病でもない限り体系的にガイドラインが作成され、年々アップデートされているわけです。つまり1%に入れない並の獣医師でも、誰でも最新の世界的スタンダードな診療手順を実施可能なはずなのです。ならばどこの動物病院でも大差無い筈じゃないですか?
でも、実際には治してくれると評判で患者が殺到している病院がある一方で、その逆の病院もある。いったいどこに差があるのだろうかと私は勤務医時代から常々考えていました。

―とても興味深いですね。先生の中でその結論は出たのですか?

もちろん答えは一つではありませんが私なりの結論はあります。結局、スタンダードな診療手順があっても、その通りにやらない、あるいはやれない様々な事情が発生するのです。忙しいから、儲からないから、面倒だから、またはなんとなくの経験論を優先したり、オーナーの懐事情を配慮したり等々、本当に理由は様々です。
例えばオーナーの懐事情に配慮するっていうのは気遣いのあることだと思いますが、良かれと思って「検査をするとお金がかかっちゃうから、とりあえずこの治療で…」といった判断を獣医師が勝手にしてしまう結果、実はオーナーが満足できていないという事例が多いように思えます。なので、当院の基本方針としては最大限やれることを提示します。その上でオーナーの意向を伺いディスカッションして方針を決めていきます。口に出して言うと簡単なことのようですが、毎日何十件も来院される全てに対してそれを丁寧に説明するというのは実はものすごく時間と労力のいることなんです。
だから段々手を抜きたくなる。とりあえずその場しのぎの治療で診断を先延ばししたり、「高齢だから仕方ない」とか「ストレスでしょ?」みたいな決着の付け方をしたりと、色々と手を抜く誘惑が発生するのです。そこをブレずに妥協せず、やるべきことを省略しない強い意志を持つこと、何が必要で、その結果何が判るのかを丁寧にインフォームしてオーナーに理解してもらうコミュニケーション能力、自分には手に負えないと判明したら意地にならず、すぐに最適の専門医を紹介する謙虚さと柔軟性、人脈、そして何か他にしてあげられることはないかと世界中の文献を漁る熱意…要するに医学的技量以前の人間力の部分で大きな差がついているというのが私の結論です。

―技術ではないということでしょうか?

いえ、技術も知識も当たり前に無ければいけません。しかしそれだけ持っていてもたいして差はつかない時代だし、それさえあれば動物とオーナーが満足すると考えてしまったら、それは獣医師のエゴです。それは片輪でしかない。もう片輪がそろわないと動物とオーナーにとって本当の意味で良い病院は成立しない。そこが差です。「他の病院で治らなかったのに、治してくれてありがとう!」という感謝の言葉を沢山いただくようになっている当院ですが、ハッキリ言ってほとんど特殊な治療はしていません。やるべきことを、手を抜かず丁寧にちゃんとやっている。ただそれだけです。しかしそんな私の病院がまだ開業から一年と少ししか経っていないのに、今口コミでどんどん来院数が増えている。その現実が私の考える結論の根拠です。

―ありがとうございました。最後に、読者に向けてメッセージをお願いいたします。

当院は「たかが犬や猫なんだから」という考えの人には少し過剰に感じられるかもしれませんね。動物病院は沢山ありますから、価値観の合致する動物病院に巡り合えることが何よりだと思います。当院の理念、価値観はシンプルです。「自分の愛する家族だったらどう対応して欲しいだろうか?」これが全ての判断のベースになっています。ここに共感して下さる方は、お困りのことがあれば是非ご来院下さい。きっと満足のいく診療を提供できると思いますよ。

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港北どうぶつ病院

場所
神奈川県横浜市都筑区 大棚町3004−1 MAP
電話
045-620-5550
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター フェレット
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 けが・その他

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