せじま動物病院 瀬島 志乃 副院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.082

レーザー治療×東洋獣医学。ペットにストレスを与えない治療
皮膚系疾患
レーザー治療×東洋獣医学。ペットにストレスを与えない治療
せじま動物病院
  • 瀬島 志乃 副院長
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埼玉県庁近く、浦和駅から徒歩15分の「せじま動物病院」。1935年の開院以来、90年以上にわたりペットにとってストレスの少ない治療法を探り続け、西洋獣医学だけではなく、体に優しい漢方や鍼灸などの東洋獣医学も取り入れた治療を行っている。2022年にはレーザー治療も導入、高年齢や基礎疾患など、麻酔に対するリスクのあるケースでも全身麻酔をかけることなくイボ(腫瘤)の切除が可能になり、さらに痛みの緩和や炎症の抑制などにも効果をもたらすという。ペットと飼い主の幸せを第一に考え、つらい治療ではなく穏やかに暮らせる治療を探り、アップデートし続ける瀬島志乃副院長にお話を伺った。(取材日 2024年7月16日)

1935年の開院から命と向き合い、現在はレーザー治療や漢方・鍼灸も駆使

― 貴院の特長について教えてください。

埼玉県で最初に設立された小動物専門病院です。1935年の開院以来ペットと飼い主様の幸せを第一に考え、ペットにストレスを感じさせない治療を心がけています。西洋獣医学だけでは処置できない病態に対しても、穏やかに対処できる漢方や鍼灸などを取り入れ、レーザー治療と組み合わせることで体への負担を減らし、早期の回復が望める治療法を探っています。
家族の一員であるペットと過ごす時間は、かけがえがないものです。それぞれの事情に合わせたオーダーメイドの治療法を提供し、最後までしっかりフォローできることが当院の特長です。

― 注力されているというレーザー治療について教えてください。

半導体レーザーを使った治療を2022年より導入しています。レーザー光の波長や出力を変えることで、イボ(腫瘤)や腫瘍(がん)の除去などの外科的治療から、パテラ(膝蓋骨脱臼)や椎間板ヘルニア、骨折などの痛みの緩和や炎症を抑える整形外科的治療まで行えます。手術に用いる場合、止血能力が高く低侵襲でスピーディーな切開ができますから、局所麻酔ですむケースもあり体にかかる負担を減らせます。痛みの緩和や免疫力の向上を図る場合は、レーザー照射部分はほどよく温かくなるだけで痛みもありませんので、気持ちよさそうにリラックスして治療を受ける子たちがほとんどです。外耳炎や口内炎、歯周病やアレルギー性皮膚炎などにも効果があり、体内の自然治癒力を高め、副作用の心配もありません。

― 東洋獣医学も取り入れてらっしゃるのですね。

手術などの外科的処置や薬剤投与を中心とする西洋獣医学は、発症した病気への治療効果は高いですが、発症以前の「未病」領域には弱い面があります。東洋獣医学では心身を一つの生命体としてとらえ、全体のバランスを整えることに重点を置き、漢方や鍼灸などで体の内側にアプローチする治療が中心となります。「未病」領域の不調改善や、免疫力の向上により、病気にかかりにくい体をつくっていくことができるのです。

メラノーマがはがれ落ち肉球が再生。QOLを維持できるレーザー治療

― レーザー治療にはどのようなメリットがありますか?

メスを使う外科手術は全身麻酔で行うものですが、レーザー治療では小さなイボを切除する程度なら麻酔がいりません。傷口はすぐに熱凝固されるため出血量も少なく、治癒が早いのもレーザー治療ならではの特長です。ほとんどの場合、エリザベスカラーを付ける必要もありません。
腫瘍が見つかったが高齢のため外科手術がためらわれるケースなども、レーザー治療が効力を発揮します。患部切断などの大きな負担をかけることなく症状を抑え、痛みも和らげますので、QOL(生活の質)を維持した治療が可能になります。

― 「レーザーサーミア」治療について教えてください。

正常細胞は44℃、がん細胞は42℃でダメージを受けるのですが、その温度差を利用した治療法です。腫瘍の中心部にレーザー光を拡散させるプローブを挿入し、腫瘍全体を42~43℃に加温することでがん細胞の死滅を図ります。また、がん細胞に直接照射するのではなく、40℃以下の適切な温度で周辺全体に照射することで免疫力を向上させ、腫瘍栄養血管新生を抑制する「マイルドレーザーサーミア」治療もあります。半導体レーザーは浸透性が高いので、腫瘍の発生部位にもよりますが、麻酔をかけずに治療することも可能です。

― メラノーマ(悪性黒色腫)にも大きな効果があったそうですね。

肉球にメラノーマを発症した場合、一般的には根治を最終目標として切断手術になることが多いです。しかし当院では、15歳の高齢犬であったため体への負担を考えて、レーザーサーミアを採択した治療例があります。併せて漢方成分の生薬を混ぜ込んだ軟膏を塗布したところ、照射後1週間ほどで腫瘍部分がポロッとはがれ落ち、1か月半ほどで健康な肉球が再生してきたのです。肉球は神経細胞が集まる繊細な部位であり、再生能力は低いとされています。メラノーマ除去からの肉球の再生は私にとっても初めての経験で、大変驚きました。飼い主様も、足を切断することまで考えた子が以前と変わりなく歩けるようになったので、涙を流して喜んでいらっしゃいました。

ドクターからのメッセージ
  • 瀬島 志乃 副院長

おかげさまで開院90周年を迎えました。1935年に祖父が開院し90年以上積み重ねてきたノウハウに加え、レーザー治療、鍼灸、漢方、ハーブなどを用いています。西洋獣医学と東洋獣医学を組み合わせ、できる限りペットに負担のかからない治療を心がけ、実践しています。ちょっとした変化に重大な病気が隠れていることもありますので、「ご飯もよく食べるし散歩も行くのに、どうもいつもと様子がおかしい」などと感じたら、お気軽にご相談ください。かわいいペットと楽しく毎日を過ごせる幸せのために、治療を通じてみなさまのお役に立ちたいと思っています。

レーザー治療×東洋獣医学。ペットにストレスを与えない治療
レーザー治療×東洋獣医学。ペットにストレスを与えない治療

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住所
埼玉県さいたま市浦和区高砂4-2-3
電話番号
048-862-2757
最寄駅
中浦和駅、浦和駅
アクセス
中浦和駅 徒歩10分
浦和駅 徒歩15分
駐車場
あり
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター モルモット リス 鳥
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 生殖器系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 心の病気 東洋医学 けが・その他 軟部外科