犬の僧帽弁閉鎖不全症と猫の心筋症、心臓病の投薬治療について
獣医循環器認定医が行う心臓病の治療。犬・猫、飼い主のライフスタイルに合わせた治療を提供します。
- 荻窪桃井どうぶつ病院/杉並動物循環器クリニック 東京都杉並区桃井
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- 木﨑 皓太 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.082
目次
埼玉県で最初に設立された小動物専門病院です。1935年の開院以来ペットと飼い主様の幸せを第一に考え、ペットにストレスを感じさせない治療を心がけています。西洋獣医学だけでは処置できない病態に対しても、穏やかに対処できる漢方や鍼灸などを取り入れ、レーザー治療と組み合わせることで体への負担を減らし、早期の回復が望める治療法を探っています。
家族の一員であるペットと過ごす時間は、かけがえがないものです。それぞれの事情に合わせたオーダーメイドの治療法を提供し、最後までしっかりフォローできることが当院の特長です。
半導体レーザーを使った治療を2022年より導入しています。レーザー光の波長や出力を変えることで、イボ(腫瘤)や腫瘍(がん)の除去などの外科的治療から、パテラ(膝蓋骨脱臼)や椎間板ヘルニア、骨折などの痛みの緩和や炎症を抑える整形外科的治療まで行えます。手術に用いる場合、止血能力が高く低侵襲でスピーディーな切開ができますから、局所麻酔ですむケースもあり体にかかる負担を減らせます。痛みの緩和や免疫力の向上を図る場合は、レーザー照射部分はほどよく温かくなるだけで痛みもありませんので、気持ちよさそうにリラックスして治療を受ける子たちがほとんどです。外耳炎や口内炎、歯周病やアレルギー性皮膚炎などにも効果があり、体内の自然治癒力を高め、副作用の心配もありません。
手術などの外科的処置や薬剤投与を中心とする西洋獣医学は、発症した病気への治療効果は高いですが、発症以前の「未病」領域には弱い面があります。東洋獣医学では心身を一つの生命体としてとらえ、全体のバランスを整えることに重点を置き、漢方や鍼灸などで体の内側にアプローチする治療が中心となります。「未病」領域の不調改善や、免疫力の向上により、病気にかかりにくい体をつくっていくことができるのです。
メスを使う外科手術は全身麻酔で行うものですが、レーザー治療では小さなイボを切除する程度なら麻酔がいりません。傷口はすぐに熱凝固されるため出血量も少なく、治癒が早いのもレーザー治療ならではの特長です。ほとんどの場合、エリザベスカラーを付ける必要もありません。
腫瘍が見つかったが高齢のため外科手術がためらわれるケースなども、レーザー治療が効力を発揮します。患部切断などの大きな負担をかけることなく症状を抑え、痛みも和らげますので、QOL(生活の質)を維持した治療が可能になります。
正常細胞は44℃、がん細胞は42℃でダメージを受けるのですが、その温度差を利用した治療法です。腫瘍の中心部にレーザー光を拡散させるプローブを挿入し、腫瘍全体を42~43℃に加温することでがん細胞の死滅を図ります。また、がん細胞に直接照射するのではなく、40℃以下の適切な温度で周辺全体に照射することで免疫力を向上させ、腫瘍栄養血管新生を抑制する「マイルドレーザーサーミア」治療もあります。半導体レーザーは浸透性が高いので、腫瘍の発生部位にもよりますが、麻酔をかけずに治療することも可能です。
肉球にメラノーマを発症した場合、一般的には根治を最終目標として切断手術になることが多いです。しかし当院では、15歳の高齢犬であったため体への負担を考えて、レーザーサーミアを採択した治療例があります。併せて漢方成分の生薬を混ぜ込んだ軟膏を塗布したところ、照射後1週間ほどで腫瘍部分がポロッとはがれ落ち、1か月半ほどで健康な肉球が再生してきたのです。肉球は神経細胞が集まる繊細な部位であり、再生能力は低いとされています。メラノーマ除去からの肉球の再生は私にとっても初めての経験で、大変驚きました。飼い主様も、足を切断することまで考えた子が以前と変わりなく歩けるようになったので、涙を流して喜んでいらっしゃいました。
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獣医循環器認定医が行う心臓病の治療。犬・猫、飼い主のライフスタイルに合わせた治療を提供します。
体表の悪性腫瘍に電気パルスを与え、抗がん剤の効果を局所的に増強する「電気化学療法」を提供しています。
動物の腸内フローラを整え、生活の質を向上させる「糞便微生物移植(FMT)」に注力しています。