鴨林 慶院長 彩の森動物病院 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.008

犬・猫の内科疾患
消化器系疾患
犬・猫の内科疾患
彩の森動物病院
鴨林 慶院長
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呼吸が早い、歯茎や舌の色が白い、皮膚の内出血といった症状は要注意。

―血液内科ではどのような病気を診ますか?

貧血からの元気・食欲低下を主訴に来院される方が多いですね。酸素を運ぶ赤血球が減少しているため、呼吸が早くなっている場合も多いです。貧血の原因は、出血、腫瘍、免疫介在性貧血や骨髄疾患、寄生虫感染、鉄欠乏や内分泌疾患など多岐に渡ります。
原因によって治療法は全く異なり、診断を誤れば治療自体が害になるため慎重な検査からの診断が必須となります。

―近年多く報告されている、犬の免疫介在性溶血性貧血とはどのような病気ですか?

免疫介在性溶血性貧血(以下IMHA)は自分の免疫により赤血球を壊してしまう疾患です。通常、免疫は体内にウイルスや細菌などの病原体や異物が入ってきた時に、それらを排除するために働く自己防御システムです。しかし、IMHAになると、免疫が体内にある赤血球を異物と誤認識してしまうために攻撃し貧血になってしまいます。
赤血球膜に対しての免疫が作用すると赤血球が破壊され溶血を引き起こします。赤血球は肺からの酸素を体内の隅々の細胞に運び供給する役割を担っていますが、溶血が起こると赤血球の数が減少するため、酸素運搬能力が低下し、全身が酸欠状態に陥ってしまいます。

―どのような症状で気づきますか?

IMHAの症状としては、元気・食欲の低下、呼吸が早く疲れやすい、眼や歯茎などが白色または黄色く見える、赤い尿が出る、皮膚の所々に内出血のような痕がある、などです。赤血球は、酸素を体の隅々に運ぶ役割があるため、その数が少ない状態である『貧血』になると、体内の酸素濃度の低下がおこり、それに伴い早い呼吸をするようになります。
また貧血になると眼や歯茎が白くなるので注意深く観察してみてください。溶けた赤血球によって、眼や歯茎が黄色く見える黄疸などの所見が見られることもあります。

―どのような検査や治療を行うのですか?

IMHAを診断する際に大事なことは、他の似た症状を引き起こす疾患を除外することと、総合的に判断することです。腫瘍や感染症、中毒でも溶血は起こりますのでそれらの除外を行います。他の疾患でないことの判断がついてから、再生性貧血であるか、球状赤血球は認められるのか、抗赤血球グロブリン抗体の有無などを確認します。注意している事としては、抗体検査が確実なものではないこと、血小板も同時に減少している場合や非再生性貧血の場合には、他の部位における自己免疫性疾患の存在を考慮することです。ケースによっては確定診断のために骨髄検査を行うこともあります。
IMHAの治療としては、輸血や、いくつかの免疫抑制剤とステロイド剤を用いることが多いです。コントロールが難しく、レスキューが必要な場合にはインタクト型人免疫グロブリン製剤を使用する事もあります。

―IMHA治療の予後はどうなりますか?

どのような経過をたどるかは発症年齢や治療を開始するタイミングにより異なります。投薬を徐々に減らし、お薬なしでも過ごせるようになる犬や猫もいますが、コントロールが上手くいっていても急死する場合もあるため、1年生存率は50%とも言われています。
IMHAでは、血液の凝固異常を併発することが多く、血管内に血の塊が詰まってしまうことで急死するケースもあります。
このような凝固不全は発症時期が予測できないこともあり、注意深く観察する必要があります。
発症した場合は血漿輸血等での対応が必要です。
免疫介在性溶血性貧血では、その治療効果、治療期間という側面から、早期発見と早期治療が最も重要になります。

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犬・猫の内科疾患

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場所
埼玉県狭山市入間川3丁目19−5 MAP
電話
04-2937-7797
診察動物
イヌ ネコ ウサギ
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 消化器系疾患 腎・泌尿器系疾患 血液・免疫系疾患 整形外科系疾患 感染症系疾患 腫瘍・がん

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