年齢に関わらず発症する犬の白内障。治療は専門の医療機関で
比較眼科学会獣医眼科学専門医が行う白内障治療。要望と丁寧な診断に基づき、手術やケアを提案しています。
- ペテモどうぶつ医療センター名古屋 愛知県名古屋市西区
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- 松浦 尚哉 獣医師
頼れる獣医が教える治療法 vol.081
目次
当院では、動物の目の病気に関する専門診療を行う「眼科」を開設しています。眼科検査と診断に必要な各種機器はもちろん、高性能眼科手術用顕微鏡も完備しました。涙やけをはじめとした一般的な目のトラブルから白内障の手術まで、幅広い診療への対応が可能です。
また、目の見えない子や見えづらい子を対象とした「ノーズワーク」を定期的に開催しています。ノーズワークは、見えない恐怖や不安を取り除くために嗅覚を鍛えるレッスンです。失明を避けられないケースにおいても、その先にある“見えない生活”にできるだけ早く適応できるよう、サポートしたいと考えています。
他には、眼科の専門診療をより多くの飼い主さんに知っていただくために、SNSやセミナーを通じた情報発信に積極的に取り組んでいることも特長ですね。
2022年に資格を取得しました。以前の勤務先で、資格をもつ先生と一緒に仕事をさせてもらったことがきっかけです。一次診療の現場では幅広い症例に対応する必要があるため、専門性が求められる場面で素早い判断ができないもどかしさを経験することがあります。そんな中で、専門医である先生が自信をもって診断し、治療する姿は本当に格好よかったですね。見えない状態で入院した動物たちが、視力を回復して退院していく。その様子を何度も目の当たりにし、自分も先生のように専門性の高い獣医療を提供したいと強く思うようになりました。
涙やけは、目から鼻あたりの被毛が涙で濡れて、茶色く変色してしまった状態です。目頭から涙があふれ続けることにより生じる症状で、「目に異常がある」「涙を排泄する涙管が詰まっている」「涙を目に保持できない」の3つが主な原因として挙げられます。
当院でよく診るのは、涙を目に保持できないケースです。油分を分泌する「マイボーム腺」の機能が低下し、涙の成分バランスが崩れることで起こります。他には、下まぶたの構造的な問題で涙を保持できない場合もありますね。
これらのケースでは、変色した部分が濡れていても、眼球自体は乾燥しています。そのままにしていると感染症のリスクが高まるため、涙の質を改善するための治療を行います。治療前に涙の質の検査が必要ですが、一般的な動物病院で実施しているところは多くありません。もちろん、すべての涙やけがこのケースに当てはまるわけではありませんが、気になる場合は適切な診断と治療を提供できる専門医への相談をおすすめします。
白内障は、目の中でレンズの役割をもつ水晶体が白く濁る病気です。目に光が入ると、黒目を覆う角膜や水晶体を通過し、一番奥の網膜でピントの合った像になります。そうすることで物の色や形を認識できるのですが、白内障では光が水晶体を十分に通過できず、見えづらくなるのです。
高齢犬の病気だと思われがちですが、実は若年でも発症します。進行すると失明だけでなく、強い痛みを伴う他の疾患を合併することもあります。初期段階では目立った症状がありませんが、暗い場所での動きが悪くなったり、明るい方を向くとまぶしそうにしたりする様子がみられる場合は、早めに受診しましょう。
また、目が白く濁る症状は「核硬化症」でも起こります。核硬化症は老化現象なので治療を必要としませんが、診察だけでは白内障との判別ができません。正確な診断が非常に重要ですので、目の色に変化を感じた際はホームドクターに相談のうえ、専門医を受診していただきたいですね。
白内障の治療は、濁った水晶体を取り除き、人工レンズを挿入する手術になります。QOL(生活の質)の向上を目指して行う治療になり、受診したからといって必ず手術をするわけではありません。手術で視力の回復が期待できるタイミングは限られているため、メリット・デメリットを詳しく説明したうえで、ご希望に沿った治療を提案しています。
手術をしない場合には、合併症を防ぐための点眼や内服による投薬治療を行います。異変に気づいた時点で受診していただければ、手術を希望しなくても今後の生活になるべく不具合が出ないようにケアしていくことが可能ですので、ぜひ早めにご相談ください。
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比較眼科学会獣医眼科学専門医が行う白内障治療。要望と丁寧な診断に基づき、手術やケアを提案しています。
多くの要因により発症リスクの高まる、犬の前十字靭帯断裂。丁寧な診察による的確な診断が重要です。
犬猫別の入口、専用待合室と診療室を備えつつ、森の中のような環境でお待ちしています。往診も対応します。