そら動物病院 岡田 雅也 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.074

低侵襲の「マイクロパルスレーザー」による犬の緑内障手術
眼科系疾患
低侵襲の「マイクロパルスレーザー」による犬の緑内障手術
そら動物病院
  • 岡田 雅也 院長
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静岡県浜松市の「そら動物病院」は、眼科診療に力を入れる。かかりつけ医として一次診療を担いながら、高度医療を行う二次診療の動物病院と密接に連携し、より専門的な1.5次診療を提供。眼科手術用顕微鏡と緑内障治療用レーザー(マイクロパルス)を導入し、最新の緑内障の手術にも対応している。2024年3月に原島町へ移転し、新病院での診療を開始。犬猫別の待合スペースと診察室、キッズスペース、その他にも多彩な工夫が施された新しい施設で、予防医療からトリミングまでトータルケアを提供している。「一次診療と二次診療の橋渡し役になりたい」と語る岡田雅也院長へ、同院が注力する眼科診療や緑内障手術についてお話を伺った。(取材日 2024年3月28日)

開業9年目に新病院へ移転。眼科に注力し、1.5次診療を提供

― 最近、病院を移転されたそうですね。

2024年3月7日から、新病院で診療を始めています。実は開業した頃から10年後を目安に広い場所へ移転できたらと計画していたのですが、良いご縁のおかげで少し早めに実現することができました。
新病院には、長年温めていたアイデアを多数取り入れています。中でもこだわったのは、わんちゃん、猫ちゃんそれぞれの待合室と診察室、お子さん連れで来院される方のためのキッズスペース。そして、併設するペットホテルやしつけ教室で使用するドッグラン「ワンルーム」です。またこれらに加えて、スタッフが利用する設備も充実させました。快適で安心できる空間になるよう、今後も改良を重ねる予定です。

― 注力されている眼科診療について教えてください。

手術用顕微鏡や緑内障治療用レーザーをはじめとする高度な眼科治療用設備を導入しており、緑内障の治療にも対応しています。角膜潰瘍や睫毛異常(逆さまつげ)などの一般的な眼科疾患を診る機会は他の動物病院と同じ程度だと思いますが、白内障や緑内障については症例数が多いのではないでしょうか。眼科疾患は診療全体の約1~2割を占めており、他院からの紹介やご自身で調べて遠方から来院されるオーナー様も多いですね。
私が目指すのは、“1.5次”診療です。眼科の治療は、かかりつけ医で提供する“一次診療”と高度医療を担う“二次診療”ではできることにかなりの開きがあり、二次診療での治療が必要かどうかを判断できる一次診療の動物病院は決して多くありません。その結果、それほど高度な治療を必要としない症例まで二次診療の動物病院へ紹介されているケースが数多くあるのです。一次診療と二次診療を繋ぐ1.5次診療があれば、二次診療の動物病院は本来取り組むべき治療に専念できます。それは治療を必要とする動物にとっても良いことでしょう。1.5次診療を提供することで、私は一次診療と二次診療の橋渡し役になりたいと思っています。

低侵襲で合併症のリスクも低い、マイクロパルスレーザーによる緑内障手術

― 緑内障はどのような病気でしょうか?

緑内障は眼圧が上がることで視神経や網膜がダメージを受け、失明へとつながる病気です。また痛みを伴う病気でもあります。
緑内障には遺伝的な要因が強い「原発性緑内障」と、他の病気に起因して発症する「続発性緑内障」の2種類があり、前者は柴犬やアメリカン・コッカー・スパニエル、シーズー、チワワなどに多く見られます。
初期症状としては目の充血、目を擦る、しょぼしょぼする、食欲が低下するなどがみられ、進行し悪化すると失明し、眼球が大きくなっていきます。緑内障の治療はスピードが重要です。発症からできるだけ早期に診断し、3日以内に治療をしなければ視覚の維持は難しいでしょう。

ところが、初期症状は結膜炎や角膜の傷などと症状が似ていることから、間違って診断されることもあります。症状がみられたときは緑内障の可能性を踏まえてすぐに受診し、必要な検査を受けていただきたいですね。
初期治療では緊急的に目薬で眼圧を下げ、その後は正常値を維持できるようにコントロールします。ただし、進行を止めることは難しいため、視覚を温存できる場合は早期に外科手術をするかどうかの判断が必要です。

― 緑内障の手術について教えてください。

緑内障の手術には、眼圧上昇の原因である房水(角膜と水晶体の間を循環する液体)の排出を促す方法と、房水の産生を抑制する方法の2つがあります。
1つは房水を排出するための医療用チューブを目の中にいれる「隅角インプラント手術」。もう1つは房水を産生する毛様体にレーザーを照射して、産生量を減らす「毛様体レーザー手術」です。レーザー手術の中にも複数の種類がありますが、当院では「マイクロパルスレーザー」を用いた治療を行っています。
マイクロパルスレーザーは従来のレーザー治療と比べて低エネルギーで照射できるため、合併症のリスクが低く、術後の炎症反応を大幅に抑制することが可能。さらに様々なステージの緑内障に対応し、反復治療ができる点も大きな特長です。切開しない短時間の手術なので、身体的な負担も軽減できます。
ただし、緑内障手術の適応かどうか、手術の成績等には個体差があるため、まずはご相談いただきたいです。

― その他、貴院の特長についてはいかがでしょうか?

病気の治療だけでなく、予防やトリミングも含めて総合的なケアを提供できる動物病院です。トリミングでは皮膚が弱い子や持病を抱えている子、高齢犬にも対応しており、それぞれに合わせて負担の少ないケアを実施。獣医師や看護師が毎回全身チェックを行っており、過去には小さな乳腺腫瘍を発見したこともありました。
またトリミングと一緒に予防のお薬を受け取ることもでき、安心と利便性の両面からお任せいただいています。

ドクターからのメッセージ
  • 岡田 雅也 院長

緑内障は、早期発見と早期治療が重要な病気です。気になる症状がある場合はできるだけ早く受診し、適切な治療を受けていただきたいと思います。眼科診療に力を入れている当院では緑内障の診断・治療も行っていますので、お困りの方は一度ご相談ください。
もちろん目の病気に限らず、どんなご相談でもお気軽にいらしてください。動物が本当に大好きなスタッフとともにお待ちしています。

低侵襲の「マイクロパルスレーザー」による犬の緑内障手術
低侵襲の「マイクロパルスレーザー」による犬の緑内障手術

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住所
静岡県浜松市中央区原島町443番1
電話番号
053-589-3914
駐車場
あり
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター フェレット
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 生殖器系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 心の病気 けが・その他 軟部外科