立川みどり動物病院 宮本 昌弥 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.065

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見と早期治療が重要
循環器系疾患
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見と早期治療が重要
立川みどり動物病院
  • 宮本 昌弥 院長
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JR立川駅から徒歩8分、みどり動物病院グループが運営している「立川みどり動物病院」は、複合施設グリーンスプリングス内にあるペットショップ「JOKER」に併設されている。「気軽に立ち寄れて、安心して通えるような病院を目指す」をモットーとする同院は、買い物も兼ねて来院する患者様も多いという。「心臓病は、早期発見し進行を食い止めることが重要です。気軽に定期健診に来てほしい」と、院長の宮本昌弥先生は語る。代表的な心臓病である僧帽弁閉鎖不全症は、悪化すると心不全(肺水腫など)を引き起こし命に関わる恐れがある進行性の疾患だ。宮本先生に僧帽弁閉鎖不全症とその治療法、早期発見の重要性について伺った。(取材日 2022年12月15日)

心臓病は早期発見が重要。月に一度の定期検診を心がけましょう

― 立川みどり動物病院の特徴を教えてください。

当院では「気軽に安心して立ち寄れる病院」を目標に、お散歩やお買い物ついでにお越しいただけるよう、明るく相談しやすい雰囲気を大切にしています。開院から2年のため、来院されるワンちゃんは0歳~2歳と比較的若めです。定期健診や予防外来はもちろんのこと、しつけセミナーやパピークラスなどのパピーケアにも取り組んでいます。
特に力を入れている分野は循環器診療で、僧帽弁閉鎖不全症の診断や治療、セカンドオピニオンを行っています。循環器疾患は初期症状が分かりづらく、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。早期に発見してワンちゃんの健康を守るために、月一回の定期健診をお勧めしています。

― 僧帽弁閉鎖不全症とは、どのような病気なのでしょう。

僧帽弁閉鎖不全症は、7歳以上の高齢の小型犬~中型犬に多い病気です。心臓の左心房と左心室の間に僧帽弁と呼ばれる弁があり、これがうまく機能しなくなると血液の逆流が生じ、様々な症状が現れます。
初期の段階ではほとんど症状が無いため、外から見て異常を発見するのは困難です。中期以降になると、息苦しそうに呼吸をする、咳をするなどの症状が現れるように。さらに悪化すると、心不全に近い状態に陥ってしまう場合もあります。
病気の進行度合いには個体差があり、数年が経過してもほとんど悪化しない子もいれば、半年~1年で初期症状から心不全に近い状態まで悪化してしまう子もいます。病状に合わせてタイミングよく治療を開始し、こまめに経過観察を行うことが大切です。

― 予防することはできないのですか?

僧帽弁閉鎖不全症は加齢と遺伝が主な発症原因のため、有効な予防法はありません。また目に見えて分かる症状が出ている時点では既に病気が進行しており、早期発見がとても大切です。悪化すると心不全に罹ってしまうケースも多く、命を落としてしまうこともあります。
当院で僧帽弁閉鎖不全症と診断されるワンちゃんは、その多くが定期検診での聴診で心雑音が認められ、病気の発見に至りました。適切なタイミングで治療を開始できれば、発見が遅れたケースと比較して3年以上長く生きられる場合もあります。

症状や進行具合に合わせ、飼い主様の意向も汲み取りながら治療を提案

― どのような治療法を提案されているのでしょう。

僧帽弁閉鎖不全症の治療法は、外科治療と内科治療の2種類です。外科治療では手術を行うことで、完治も期待できます。外科治療が必要な患者様には信頼できる病院様を紹介させていただいています。内科治療では投薬が中心となり、病気を根本的に取り除くことはできませんが、症状を抑える、進行を遅らせることが可能です。適切なタイミングで投薬を開始することで、平均寿命前後まで天寿をまっとうできるワンちゃんもたくさんいます。

― 早期発見したことで、快方に向かったケースを教えてください。

まずお話するのは、外科治療を行った症例です。ワンちゃんは7歳のマルチーズで、ワクチン接種の際に聴診で心雑音が聴こえたことから、僧帽弁閉鎖不全症の発見に至りました。発見した時点では治療を開始するレベルではなかったため、経過観察を実施。半年後に病気の進行が認められたため投薬治療を開始しましたが、進行が速く心不全を発症するリスクが高かったため、外科治療を提案しました。紹介先病院での手術は無事成功し、現在も心不全などに悩まされることなく元気に過ごしています。
続いてお話するのは、内科治療のみの症例です。ワンちゃんは9歳の雑種で、来院時の主訴は咳でした。検査の結果、血流の異常により大きくなった左心房が気管を圧迫し、咳を誘発している状態だと判断。心臓の負担を軽減する薬で治療を開始したところ、咳は治まり、2年弱経過した現在も元気に過ごしています。

― 診察ではどのようなことを心がけていますか?

外科治療と内科治療の選択は、病気の進行具合や年齢などによって変わってきます。そしてどのような治療を行い、どのような一生を過ごして欲しいのか、考え方も様々です。飼い主様の意向も汲み取りながら、病状を総合的に判断し、治療法を提案していきたいと考えています。
また心臓の病気は、僅かな変化を察知し、いかにタイミングを逃さず治療を行えるかが重要です。月に一度、経過観察やお薬の処方で来院いただく際には、咳がちょっと増えた、なんとなく元気がないなど、小さな変化を見落とさないよう密なコミュニケーションを心がけています。

ドクターからのメッセージ
  • 宮本 昌弥 院長

僧帽弁閉鎖不全症は進行性の病気であり、放置してしまうと命に関わる場合もあるため、早期発見が何よりも大切です。発見が早いほど治療の幅も広がりますし、ワンちゃんの負担も小さくなるため、日頃から定期的な検診を意識するとよいでしょう。適切に病状を見極め、飼い主様の気持ちにも寄り添いながら可能な限り納得のいく治療を提案いたします。将来を見据え、ベストなケア方法を一緒に考えていきましょう。

犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見と早期治療が重要
犬の僧帽弁閉鎖不全症は、早期発見と早期治療が重要

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住所
東京都立川市緑町3−1 グリーンスプリングスJOKER内
電話番号
042-595-6733
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター フェレット
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 生殖器系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 心の病気 けが・その他 軟部外科