救える命のために手を尽くす、供血犬のいる動物病院
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
- クレア動物病院 大阪府大阪市天王寺区
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- 田中 誠悟 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.064
目次
下田先生:乳腺の細胞が腫瘍化することで起きる病気です。女性ホルモンの影響を受けて発生するため、避妊手術をしていないメスに多い病気ですが、まれにオスでも発生します。イヌでは良性・悪性と様々なケースがあり、ネコでは悪性が多く、悪性の乳腺腫瘍が一般的に“乳がん”と呼ばれる病気です。良性でも放置するとがん化するケースもあるので、早めに切除することが望ましいです。
乳腺腫瘍と紛らわしい肥満細胞腫や脂肪腫などの腫瘍もあるので、まずは針で細胞を採取して行うFNA検査(細胞診)でその種類を診断します。またイヌでは、乳腺腫瘍ではなく乳腺炎であるケースも多く見られます。
イヌやネコの乳腺は4、5対あるので、複数の乳腺に腫瘍が発生する可能性があります。左右のどちらか片側にできている場合は転移しにくいですが、左右両側にできている場合は転移する可能性が上がります。肺やリンパ節に転移すると、乳腺を切除するだけでなく薬物療法も必要ですが、ヒトより効果は低いです。
下田先生:治療の第一選択は外科的に切除をすることです。乳腺のしこりが小指大以上の大きさであれば、迷わずに切除しましょう。小指の大きさになっている場合には良性腫瘍であってもがん化するリスクが高いのです。手術をする際は、しこりの発生部位に合わせて切除方法を検討します。乳腺腫瘍が1か所だけであれば1つのみ、脇に近い乳腺と鼠径部に近い乳腺のように距離が飛んで複数発生している場合は片側を全部取る、といったように手術の内容が変わります。手術後は切除した部位の病理組織検査を行い、2、3か月後には転移していないか確認するためにレントゲン検査をします。
また当院では、ホルモン療法も実施しています。手術後にホルモン療法を行うと、再発率が1/10程度に抑えられるのです。しこりが粟粒大であれば、切除をしなくてもホルモン療法だけで腫瘍が消失する子もいます。ただし、サイズが大きい場合や複数できている場合には効果が薄いので、治療の適用についてはご相談ください。
下田先生:繁殖の希望がなければ、1回目の発情が来る前に避妊手術を受けさせることをお勧めします。若いうちに避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生を1/10に抑えることができるのです。
避妊手術をしていない子が乳腺腫瘍になった場合には、同時に行うケースもあります。しかし手術の時間が長くなるので別々の日にすることもあり、飼い主様と相談して決めています。乳腺腫瘍ができたあとに避妊手術をしても腫瘍は小さくなりませんが、新しい腫瘍の発生リスクを軽減することができますし、卵巣や子宮の病気の予防にもつながります。
堀井先生:レーザーメスや血管シーラーなど、侵襲や痛みを軽減するための手術器具をそろえています。執刀は主に院長が行い、助手や麻酔管理は私たち獣医師が担当します。設備や体制の面でも安全性が高いことが当院の手術の特徴です。
当院は10名の獣医師がいて、それぞれ決まった曜日に出勤しています。獣医師の指名がありましたら、曜日をご確認ください。前回と違う獣医師が診察することで違う角度のお話をすることもできますし、同じ獣医師が診ることでわずかな変化に気づくこともできます。
齊藤先生:なるべく話しやすい環境を作りながら診察することを心がけています。わからないことがあれば聞いてほしいですし、私たちも飼い主様にわかりやすく説明したいと思っています。「これも話しておけばよかった」という後悔や、説明が足りず誤解を生むことをしたくないんです。日ごろペットを見ている飼い主様だからこそ気づけることもありますので、ささいなことでもご相談ください。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
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