ペットのため学び続ける、皮膚とエイジングケアのスペシャリスト
長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
- 北川犬猫病院 東京都板橋区南常盤台
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- 後藤 慎史 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.063
目次
椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板が変性し、神経の束である脊髄に突出することで、痛みや炎症、足のふらつき、麻痺が起こる病気です。犬では胸腰部や頚部、猫では尻尾の付け根が好発部位であり、「触ると嫌がる」「毛づくろいができず毛並みが悪くなる」といった状態を引き起こすこともあります。
椎間板ヘルニアは、原因によって2つのタイプに分かれます。椎間板は卵のような構造で、黄身部分を椎間板髄核(ずいかく)、白身部分を線維輪(せんいりん)と呼びます。線維輪を破って髄核が突出するタイプがハンセンⅠ型、線維輪が分厚くなり脊髄を圧迫するタイプがハンセンⅡ型です。ハンセンⅠ型は、軟骨異栄養犬種という体質を持つダックスやトイ・プードルで起こりやすく、ハンセンⅡ型は加齢により発症しゆっくり進行します。
内科治療と外科治療があります。重症度にもよりますが「内科治療で84%、手術で95%の子が改善する」とのデータがあります。内科では消炎鎮痛剤もしくはステロイド剤、神経痛治療薬、ビタミン剤などを服用します。また、散歩や上下運動をさせないといった運動制限も重要です。内科治療で改善しない場合や歩けない場合には手術が選ばれやすく、どの時期にどの治療を行うかは飼い主様と相談して決めています。当院では、内科治療と並行して鍼灸治療や漢方を処方するケースもありますね。
鍼灸の良い点は、どんな子にも適応できることです。「基礎疾患があって手術ができない」「薬を飲む以外にもなにかしてあげたい」といったときにも選択できます。
鍼治療は週1回ペースで8回行いますが、早ければ1回目でふらつかずに立てるようになる子もいます。施術の前にまず話しかけたり、アロマのような塗る漢方を使ったりして、動物たちの緊張を解くことを心がけています。鍼治療はリラックスして受けた方が効果が高いんです。そのために中獣医鍼灸師だけではなく、ペットマッサージセラピストという資格も取得しました。動物は鎖骨がなく常に肩が凝っているので、マッサージをするとみんな良い顔をしてくれますね。
鍼の本数や刺す場所、刺激の強さは、その子の状態を見ながら変えていきます。患部に近い経穴というツボや、患部を触らせてくれない場合には後ろ足の経穴などからアプローチします。鍼治療は温泉に入ったような適度な疲労感があり、「家に帰ったら爆睡した」といった報告もよくいただきます。
主に自宅で行っていただきます。お灸は使い方や場所がわかれば飼い主様も実践できるので、「やってあげたい」と喜ばれる方も多いですね。
一般的なお灸だけではなく、温めた小豆を使うこともあります。小豆はじわじわと湿度も伝える湿熱で、乾熱より体を温めることができ持続時間も長いという特徴があるんです。繰り返し使えるのも良い点ですね。動物用の小豆グッズも用意しています。
中医学(中国伝統医学)では、飼い主様からお話しを聞く問診や、音や臭いから情報を得る聞診(ぶんしん)が重要です。生活環境や家族構成から自宅でのケアを提案できますし、舌や肉球の色、脈拍からは体質が推測できます。鍼灸治療の初診では、カウンセリングを中心に1時間ほど時間をいただきます。
中医学は、崩れた体のバランスを整える医療です。たとえば中医学における椎間板ヘルニアは、経絡に流れる気・血・津液(き・けつ・しんえき)が滞っている瘀血(おけつ)という状態です。この滞りを解消させることで症状が改善します。神経や整形外科の疾患のほか、腎不全などの慢性疾患、加齢に伴う体の不調などに対しても鍼灸治療は相性が良いですね。
西洋医学と中医学の両方を提案できることが最大の特徴です。西洋医学におけるゴールデンスタンダードの治療で期待した効果が得られなかったときに、鍼灸治療を行うこともできます。猫の口内炎に対して、鍼灸や漢方で症状が落ち着くケースもありますね。
診療において意識しているのは、お話をしっかりと聞いて飼い主様の希望に応えること。そして病気を早く見つけ、動物も飼い主様も負担が少ない生活を送れるようにすることです。
また、お子様向けの獣医師体験教室やマッサージ講座、肉球アートなどのイベントを開催したり、地域のマルシェやお祭りにも積極的に参加したりするなど、治療以外の活動もしています。動物たちとの楽しい生活の一助になれるよう、地域密着の病院であり続けたいです。
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長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
飼い主様だけでなく、地域の獣医師からも紹介先として頼りにされる、外科治療専門の動物病院です。
発症後の致死率は9割を超える猫伝染性腹膜炎(FIP)。豊富な治療実績を基に、難病から愛猫を救います。