頼れる獣医が教える治療法 vol.059
咳や呼吸の苦しさ、鼻水、くしゃみ、いびきなど、鼻から肺までの呼吸に関わるすべての症状を診ています。セカンドオピニオンでは、なかなか咳が治らない、レントゲン検査で「肺が白い」「気道が狭い」などの異常が見つかった、というケースが多いですね。ワンちゃんネコちゃんの患者さんは同じぐらいです。気管虚脱や短頭種気道症候群に対しての手術も実施しています。
呼吸器科専門外来は予約制です。呼吸器の病気は同じ症状であっても治療法が異なることが多いので、呼吸器科の診療では、可能な限り確定診断を行う、つまり病気を特定することが何よりも大切です。
問診を綿密に行い、そのあとに身体検査やレントゲン検査、血液ガス分析、内視鏡検査などを実施します。
問診では見落としがないように「呼吸は吸いづらいのか吐きづらいのか」「どのタイミングでどんな音の咳をするのか」など、様々なことをお伺いします。初診では30~60分程度お話を聞いて、病変部位と病気を推測します。またレントゲン検査では、静止画だけでなく動画のように撮る透視検査という手法も用いて、気管支や喉の動きを確認します。特殊な検査では、肺機能を調べる動脈血ガス分析や、麻酔下での気管支鏡や鼻鏡による内視鏡検査も状況に応じて実施します。
短頭種の子では「鼻の入り口が狭い(外鼻孔狭窄)」「鼻の中が狭い(鼻腔狭窄)」「軟口蓋が長い(軟口蓋過長)」「軟口蓋が分厚い(軟口蓋肥厚)」「気管が細い(気管低形成)」といった骨格的、解剖学的異常が多くみられ、それらが合わさって起こる症状を短頭種気道症候群と呼びます。代表的な症状はいびきや呼吸困難です。パグでも鼻の通りのよい子がいるように、すべての短頭種が罹患するわけではないですが、短頭種の飼い主様には知っておいてほしい病気です。
軽度の場合は体重管理など内科的なケアを行いますが、根本的に解決するには手術が必要となることがあります。短頭種は麻酔から覚めたあとに上気道閉塞(窒息)を起こすことがあるので、術前にそれらのリスクについても十分に評価したうえで、症例毎に必要な治療として「鼻の穴と、その中を広げる」や「軟口蓋の長さや厚さを整復する」「喉にできた喉頭小嚢を取る」などの手術を行います。短頭種気道症候群としての症状が認められるのであれば、病態が進行してしまうことの多い4歳までの治療を推奨しています。いびきや日常的なガーガーやブーブー、ズーズーといった呼吸音が当たり前だと思わずに、気になる症状があればご相談いただきたいです。
名古屋みなみ動物病院・どうぶつ呼吸器クリニック
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