頼れる獣医が教える治療法 vol.055
整形外科と神経外科に力を入れています。「動くと痛い」「しっかりと歩けない」といった問題を抱える犬猫は多いですが、これらの治療は経験と技術、専用の器具が揃わないと難しく、対応できる病院が多いとは言えません。
当院では、骨折や椎間板ヘルニア、膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂などの治療を多く行っています。他院の先生からの紹介とセカンドオピニオンの相談のどちらも多いです。年々新しい治療方法が登場する分野なので、日々の勉強と知識のアップデートが欠かせません。現在は、東京の大学の研究室に所属して専門的に学んでいます。
実際の動物の動き方を見ることが何よりも大切です。最初から診察台に乗せたり、私がいきなり動物に触れることはありません。まずは、診察室や病院の外を歩いてもらい、飼い主様のお話を聞きながら動きを観察します。その際に動画を撮影することもあります。スロー再生すると体の使い方がわかりますし、治療前後での歩き方の比較にも役立ちます。
歩き方がおかしい場合は、膝や股関節、神経、免疫の病気などさまざまな原因が考えられます。若齢犬では犬種により膝蓋骨脱臼と股関節の病気であるレッグペルテスの併発、高齢犬では膝蓋骨脱臼と膝関節内の病気である前十字靭帯断裂の併発など複数の病気に罹患しているケースもあります。これらの病気を見逃さずに診断することが肝心です。
膝蓋骨という膝のお皿が外れてしまう病気です。小型犬では内側に、大型犬では外側に外れることが多く、まれに両側に外れる子もいます。膝の外れやすさにより4段階のグレードに分類され、成長とともに悪化することがある病気です。進行すると、「足の太さが左右で違う」「足をあげる」といった症状が現れやすいですが、グレードと痛みの強さに相関はありません。急にお皿が外れるとグレードの軽い子では痛みが強く出やすく、一方で、慢性的にグレード4まで進行した子でも痛みが分かりにくい子もいます。痛みをあまり感じず歩き回った結果、前十字靭帯断裂という別の病気を引き起こすケースもあります。
歩行に支障がなくても、ほかの病気を予防するため、定期的に検査をして適切なタイミングで治療を開始することが重要です。
犬猫専門動物病院 ドッグ&キャットホスピタル ガルファー
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