ペットのため学び続ける、皮膚とエイジングケアのスペシャリスト
長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
- 北川犬猫病院 東京都板橋区南常盤台
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- 後藤 慎史 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.054
目次
自分の実践する腫瘍(がん)科診療が、客観的に正しく、偏りがないか、遅れたものではないか、を確認するために取得しました。腫瘍(がん)科診療で重要なことは「早期発見早期治療」です。普段からよくペットに触り、歯磨きの際に口の中を見て、定期的に体重を測る。おしっことウンチを観察し、お水を飲む量を測ることなども大切です。咳や嘔吐などの目立った症状だけでなく、小さな変化や違和感でも続くようであれば相談してください。大きくなってから大手術をするのではなく、小さなうちに小手術をすることが、最も良い結果を出すことができます。
腫瘍科のセカンドオピニオンでは、切除困難な腫瘍(がん)の外科手術の相談を多くいただきます。大きすぎて切除できない、切除はできても手脚、眼、鼻や耳など体の一部がなくなる、おしっこやウンチがし辛くなる、など術後に機能障害を伴うと判断されたケースでのご相談が多いですね。体表の何処にでも発生する肥満細胞腫の相談は特に多くいただきます。
犬と猫に多くみられる腫瘍で、大きく「皮膚・皮下型肥満細胞腫」「内臓型肥満細胞腫」に分けられます。
皮膚・皮下型は体表のどこにでも発生し、1-2割程度で多発することがあります。発見時には無症状であることも多いですが、進行した場合には全身の倦怠感、消化器症状、虚脱などを引き起こし、もっとも悪性度の高いものでは生存期間が大きく短縮します。内臓型は脾臓、肝臓や消化管などに発生し、多くは来院時に症状を伴っており、皮膚・皮下型に比べ挙動、予後が悪いです。
肥満細胞腫は動物種、発生部位、腫瘍自体の悪性度などによって非常に多様な挙動をとる腫瘍のため、正確に評価を行い、個々の症例に最適な治療を選択することが重要です。
適切な時期に適切な治療を施せば、根治も期待できます。重要なのは「ご家族が何を望まれるのか」ということです。完治が難しく積極的な治療を希望されない場合でも、ペットが今後どうなっていくか(予後)をご家族に正しく理解していただき、治療の目的を根治から緩和に切り替えることもあります。
治療の柱となるのは外科的な切除です。これに加えて、あるいは代替としての放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)、分子標的治療などがあります。肥満細胞腫の腫瘍随伴症候群である倦怠感、消化器症状、虚脱や病変部の炎症などをコントロールする補助、支持療法も必要です。
肥満細胞腫についての情報量は多く、治療プランは比較的立てやすい病気です。その反面、切除困難部位の手術や多発性病変、所属リンパ節の処理など成書(教科書)に記載されている以上の知識や経験を求められるケースも多くあります。また近年特に情報の更新が早い腫瘍であり、診断や治療選択肢のアップデートが続いています。
第一に正しい診断、次に正確な全身評価、最後に客観的なデータに基づいて治療プランを立案します。治療選択肢の多い腫瘍ですが、早期に客観性を持って最も確率の高いことを積み重ねることが最良の結果を生むと確信しています。複数の治療プランを提案し、最後にペットやご家族の状況を見ながら個人としての意見を伝えるようにしています。
肥満細胞腫に対して最も効果的な治療法の一つは積極的な外科切除ですが、セカンドオピニオンで主に相談されるのは、腫瘍の切除はできても、脚がなくなるなどの機能障害が起こるとされたケースです。その多くは、皮膚の各種皮弁移植法やドレッシングによる部分から全域の二期癒合、あるいは術前術後の集学的治療などにより、ご家族が許容できる範囲内での対応が可能になると考えています。
外科手術以外に、放射線治療や化学療法(抗がん剤治療)、分子標的治療を組み合わせた集学的治療なども、必要・妥当と判断されたケースでは積極的に行っています。外科医として常に完全切除を目指しながらも、「大きすぎて切れない、取り切るなら脚を切るしかない」などのように選択肢を絞るのではなく、その他の選択肢も提案し、各治療法のメリット・デメリットをしっかりと理解していただいたうえで、選択してもらうように心がけています。個人で年間400~500件程度の手術を行っていますが、さらに経験を積み、患者さんごとに最良の治療を提供できるよう努めたいです。
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長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
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