ペットのため学び続ける、皮膚とエイジングケアのスペシャリスト
長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
- 北川犬猫病院 東京都板橋区南常盤台
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- 後藤 慎史 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.053
目次
2021年11月に移転し、「ヴァンケット動物病院 三宿動物医療センター」として再出発しました。入口を2つに分け、犬専用と猫・エキゾチック専用の受付、待合室、診察室があります。わんちゃんの声にストレスを感じる動物もいるので、その子たちが安心して診療を受けられる環境にしました。
また高度医療を提供できるように、大型犬用のICUや陽圧手術室を設けました。陽圧室は外部からの空気の流入を防ぎ、感染症のリスクを大幅に軽減するので、整形外科や脳神経外科、体内に医療器具を入れるインプラント手術をより安全に行うことができるようになりました。
予約制での診療と、エキゾチックアニマルにも犬猫と同じレベルの診療を行っていることが特徴です。どのような症状でも確定診断をして適切な治療をすることを目指しています。適切な治療を行うためには、飼い主様とお話する時間がとても大切です。その時間をしっかりと確保するため、また具合が悪い子を院内で長時間待たせないために予約制で診療をしています。
私自身は腫瘍科と心臓病、腎臓病などの高齢期疾患の治療に力を入れています。特に腫瘍は、犬猫だけではなくハムスターやフェレットなどのエキゾチックアニマルでも多い疾患です。動物種によっては治療法が確立していない分野でもあるので、学会発表などを通じて情報発信することで獣医療の発展に貢献したいですね。
リンパ腫はひとつの病気ではなく、疾患群、病気のグループを指す言葉です。体内のリンパ球という白血球の一種が腫瘍になり、身体のさまざまな部位で発生します。発生部位や細胞の種類、悪性度により症状も治療法も異なるので、正しく診断することが重要です。
犬では脇や顎の下などのリンパ節が腫れる多中心型リンパ腫、猫では消化器型リンパ腫が多く見られます。ほかにも、胸腔や鼻腔、皮膚などで発生することもあります。猫の消化器型リンパ腫は、炎症性腸疾患や誤食とも症状が似ていますが、予後が悪いため注意が必要です。
猫の消化器型リンパ腫は、空腸や回腸、小腸で発生し、嘔吐や下痢、食欲不振といった消化器症状を現わす病気です。胸の中で発生する縦隔型は猫白血病ウイルスの感染がリスク要因となりますが、消化器型は持病や年齢に関係なく発生します。
型により予後や治療方法が異なるため、最初に確定診断を行うことが重要です。細胞・組織を採取し、細胞診や免疫染色を行い「T細胞ローグレードの消化器型リンパ腫」のように確定診断します。細胞の形態により、腸に“できもの”を作るハイグレード(大細胞性)と“できもの”を作らないローグレード(小細胞性)に分けられます。ハイグレードは進行が早く悪性度も高い低分化型で、ローグレードは進行が遅い高分化型です。ハイグレードの場合、無治療での余命は約2~3か月、ローグレードでは約2年と言われますが、当院では2年以上生きている子もおり個体差があります。
リンパ腫は完治が難しいので、症状を抑えて普通の猫ちゃんと変わらない生活ができる寛解を目指して治療を行います。ハイグレードの場合、できものを切除してから多剤併用化学療法という抗がん剤治療を行います。数種類の抗がん剤を決まった周期で獣医師が投与する治療です。ローグレードの場合も抗がん剤治療を行いますが、こちらは飼い主様が自宅で投与する治療です。
化学療法は嘔吐や下痢などの副作用が出やすく、また白血球が減少して細菌感染や敗血症を起こすリスクもあります。進行を遅らせることができたとしても、副作用で生活の質が落ちてしまっては意味がありません。その子がなるべく苦痛なく楽しく暮らせるようにする。それがリンパ腫の治療においてもっとも大切なことです。
リスクとメリットを説明して飼い主様と話しあって決めています。リンパ腫はもっとも効果が高いと考えられる標準治療、ゴールド・スタンダードが「抗がん剤治療である」と確立している病気です。ですから、確定診断をつけると治療方法は定まりますが、私自身は抗がん剤治療を絶対にやるべきだとは考えていません。副作用や費用の面で抗がん剤治療を選択されないのであれば、ステロイド剤を用いるなどほかの選択肢もあります。また、消化器型リンパ腫の確定診断では内視鏡や開腹手術で細胞・組織を採取することが望ましいですが、手術を望まれないケースもあります。治療の進め方、方法はひとつではないので、納得できる治療を選んでほしいと思います。
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長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
飼い主様だけでなく、地域の獣医師からも紹介先として頼りにされる、外科治療専門の動物病院です。
発症後の致死率は9割を超える猫伝染性腹膜炎(FIP)。豊富な治療実績を基に、難病から愛猫を救います。