アルフペットクリニック 松葉 洋宗 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.004

犬のアレルギーと皮膚疾患
皮膚系疾患
犬のアレルギーと皮膚疾患
アルフペットクリニック
  • 松葉 洋宗 院長
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JR川崎駅の日本鋼管病院の近くにあるアルフペットクリニックは、2012年6月の開院以来、犬猫のアトピー性皮膚炎や食餌アレルギーの治療で訪れる患者さんが後を絶たない。同院の松葉洋宗院長は、「どのようにしたら飼い主様とペットが幸せに楽に暮らせるのか、お互いが納得する方法を一緒に考えていく」という方針で治療を行っている。そのため、飼い主様からの信頼も厚く、遠くから来られる方や、ペットが代替わりしても継続して通われる方も多いという。今回は松葉院長に貴重なお時間を頂き、犬猫のアレルギー治療についてお話を伺った。(取材日 2016年9月30日)

アトピー性皮膚炎も人間と同じで一生治らない病気です

― 犬にもアトピー性皮膚炎があるのですか?

動物にもアトピー性皮膚炎は有ります。主な症状としては、かゆみ、発疹、ふけ、脱毛などです。
アトピー性皮膚炎というのは、簡単に言えば環境中物質に過剰に反応する免疫異常です。人間もそうですが、現代病と言えるでしょう。

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― アレルギーの主な原因は何でしょうか?

飼っている家の環境、体質、高温多湿な日本の環境、ストレスなどの多種多様の要因が関与していると考えられます。ですが、その機序やなぜ発症するのかは、はっきりとわかっていません。

― アトピー性皮膚炎になりやすい犬種などはありますか?

ダックス、ウェスティ(テリアの一種)、シーズー、コーギー、プードル、フレンチブルドッグなどで多いと思います。ですが、経験ではどの犬種でもアトピー性皮膚炎を起こす可能性があると考えます。

― どのように検査や診断、治療を行うのですか?

問診や視診、触診、全身状態、過去の病歴や他院での治療経過から検査や診断方法、治療内容を検討します。皮膚の細菌や真菌培養、毛の顕微鏡検査、ウッド灯検査や除去食検査、IgE抗体検査 (血液中のアレルゲン抗体検査)、腫瘍や難解な皮膚病と推測される場合には皮膚の病理検査などをワンちゃんの状態や飼い主様の要望などを考慮して適宜行います。

― IgE抗体検査でわかる内容はどのようなことですか?

現時点では体で反応している食餌、樹木、雑草がわかります。たとえば食餌では、牛肉、鶏肉、ミルク、豆、コーン、七面鳥、穀草、オートミール(からす麦)、ポテト、マグロ、たら、人参、えんどう豆などです。その他には蚊や樹木、雑草などの92種類の項目が有ります。IgE抗体検査はそれ自体だけでアレルギー反応の原因と診断は出来ませんが除去食試験の反応結果と合わせて考えて検討すると、アトピーや食餌アレルギーの原因を避けることや推測することが可能です。

― では、どのような治療をされるのでしょうか?

当院はシャンプー療法では病院にあるマイクロナノバブル・オゾン装置を使った療法を推奨しています。マイクロナノバブルはゴシゴシと洗浄せずに皮膚の深部まで洗浄するので、皮膚が弱っている時の治療としては非常に皮膚に優しく優れた治療法です。更にオゾンが薬品を使わず皮膚病の元になる細菌や真菌を殺菌します。また抗生剤や消炎剤、免疫抑制剤、抗真菌剤などの服用、塗布など病状に合わせて治療します。減感作療法という免疫療法を行う場合もあります。
また食餌についてもアレルゲンを避けて、できるだけ体のアレルギー反応を避けるようにしています。
アレルギーは治りませんが、上手くコントロール出来ることが多いので、飼い主様とどのようにしたら、楽に幸せに暮らしていけるのか、話し合いながら、納得できる治療を心がけています。
長期治療になるので続けなければ意味がありません。手間や時間、費用の問題やその子に合った治療法など、その辺りを飼い主様と相談して判断していくようにしています。

ペットの食欲が落ちているのは、食餌アレルギーが原因かもしれません

― 食餌アレルギーの時の症状はどのようなものですか?

皮膚病や嘔吐や軟便、下痢、頻回の排便といった症状の他に、栄養を十分に吸収できないので痩せてくる、ご飯を食べたがらないという症状が出ることが有ります。食餌アレルギーを起こすご飯を食べると、吐き気がしたり、痒くなったりしますので、当然食べません。食餌の好き嫌いで食べないと思っていたのが実は食餌アレルギーが原因で、食餌を食べなかったということがあります。
犬だけではなく、猫も発症した場合は同じような症状が現れます。

― こちらも検査をしていくのですか?

食餌アレルギーの診断方法として除去食試験があります。これは今まで食べたことがない食餌(新規タンパク質)や加水分解という特殊処理をされたアレルゲンフリーの食餌と水だけを2~3週間続けて食べさせて、症状が改善するかを観察して食餌アレルギーの有無を診断します。
アレルゲンフリーのご飯というのは加水分解という加工方法で、体がアレルゲンとして認識し難い小ささにタンパク質を分解したものです。また新規タンパク質とは、そのワンちゃんが今まで食べたことのないタンパク質のことです。

― 飼い主様ができるアレルギーの対策はありますか?

アトピー性皮膚炎の場合には自宅でタバコを吸わない、芳香剤や香水を使わない、空気清浄機を入れる。
食餌アレルギーの場合にはおやつは食餌と同じ物を与える、人の食餌を与えないなどです。

― 今までで、アレルゲンで多かったものはありますか?

一例としてはお米、りんご、ブタクサなどが有りました。人間と同様に動物にも花粉症もあります。
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどの症状が花粉の多い時期は当然多くなりますね。その他に喘息もあります。部屋に繁殖していた真菌で喘息を起こしている症例も診たことがあります。

系統立った検査と診断が治療の要

― 診療の糧にしているものはありますか?

以前に勤務していた三鷹獣医科グループでの経験や、その当時に多く参加した欧米の専門医による皮膚病のセミナーが役立っています。そこでの診療と多くのセミナーで勉強ができたことが、系統だった検査や診断を行う今の自分の診療の糧となっています。開業した今でも、欧米の専門医による内科や外科のセミナーは月に1回くらいは出るようにしています。

― 今まで治療されていて、心に残ったエピソードなどありますか?

病院名の「アルフ」は三鷹獣医科グループ時代からアルフペットクリニックを開業するまでずっと来られたラブラドールレトリバーのお名前からとらせていただいています。肝臓病や眼球の腫瘍、胃捻転、アレルギー性皮膚炎など様々な病気で私の診察を受けていました。アルフは亡くなりましたが、飼い主様は今も遠くから、代替わりした子を連れて来て下さっています。前述のように病院が変わっても信頼してついてきて下さる患者さんが何人も居ることが何よりも嬉しいことです。

ドクターからのメッセージ
  • 松葉 洋宗 院長

皮膚病の飼い主様はいくつもの病院を転々とされていることが多いので当院ではしっかりと時間をかけて診療するために予約制で診療しています。
これはインフォームドコンセントで飼い主様にご納得をして治療をして欲しいと考えているからです。
アレルギーは治らない病気ですが、改善させてコントロールすることができることが多い病気です。
困っていることや相談があれば、ぜひご来院ください。

犬のアレルギーと皮膚疾患
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神奈川県川崎市川崎区渡田向町29−16
電話番号
044-244-7800
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