頼れる獣医が教える治療法 vol.041
なんらかの原因により皮膚のバリアが壊れ、毛穴に菌が入り込み炎症を起こす病気です。毛穴同士の炎症がつながることで大きな病変となり、痒みや脱毛が生じます。もともと皮膚には多くの菌が存在していますが、健康な皮膚では膿皮症にはなりません。他の問題で皮膚免疫が異常をきたした結果として、膿皮症が引き起こされます。
膿皮症は1か月ほどの治療で完治する子もいますが、治療が長引くことや数か月後に再発することも珍しくない、厄介な病気です。1年に2回以上膿皮症を患ってしまう状態を「再発性膿皮症」と呼びます。
再発性膿皮症の子の約7割は何らかの膿皮症以外の病気を持っています。食物アレルギーや犬アトピー性皮膚炎といったアレルギーが多いですが、糖尿病やクッシングなどの内分泌疾患、誤った方法によるシャンプーの実施や自分自身の毛が刺激となり発症することもあります。高齢の子では腫瘍による免疫力低下も念頭におかなければなりません。これらのケースでは、細菌感染だけではなく根本原因の精査と治療が必要となります。また、抗菌薬が効かない薬剤耐性菌も原因の一つです。
抗菌薬を投与されたことのある膿皮症の子では、細菌培養検査と薬剤感受性試験を行います。培養検査で菌の種類を特定し、感受性試験により効果のある抗菌薬を調べます。基礎疾患の治療と合わせて、シャンプーや外用薬、食事の見直しなどを行います。当院では、薬剤耐性菌を生まないようにするために、抗菌薬の使用はなるべく減らしています。効果のある抗菌薬が見つかったとしても、あえて投与しない治療を選択することもありますね。
ほかではあまり行われていない治療として、インターフェロンやナノバブルを発生させるオゾンペットシャワー®を用いた治療も取り入れています。従来の治療では改善が見られなかった子でも効果が得られるケースがあり、期待がもてる治療法です。
川西池田いぬとねこの病院
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膿皮症の治療は抗菌薬だけではない。食事やシャンプー、インターフェロンによる治療も重要です。
僧帽弁閉鎖不全症は小型犬の85%がなる病気。超音波検査で正確に診断することが重要です。
MRI検査、脳波検査による速やかな診断。てんかんは早期の診断、適切な治療開始の時期決定が大切です。