頼れる獣医が教える治療法 vol.038
当院では、西洋医学と東洋医学の両方からアプローチをして治療を行っています。西洋医学の薬や外科手術では病気が改善しない、あるいはその子の体力面や飼い主様の金銭的な問題から西洋医学の治療を行えない、ということがあります。そのような飼い主様に対して「なにかひとつでも治療法の選択肢を提示したい」と思い、東洋医学専門の学校で知識と技術を習得しました。
院内で行う鍼灸治療だけでなく、ご自宅で飼い主様に温灸やマッサージをしてもらうこともありますね。棒状のお灸やあずきの入った袋のようなもの、針のない鍼など、症状やワンちゃん、ネコちゃんの性格に合わせたケアをお伝えしています。
犬ではヘルニアなどの神経症状、猫では慢性腎不全で特に効果的です。鍼灸治療の効果は個体差があり、体質だけでなく信頼関係にも左右されます。はじめて病院に来た子の場合、僕をあまり信頼できていないので鍼灸治療による効果は薄くなります。普段から来てくれている子や人懐っこい性格の子のほうが良い効果が得られるのです。これはヒトでも同様で、「鍼灸は本当に効くのかな」と思っている大人よりも、子どものほうが治療成績が良いと言われています。ですので、当院では、その子の顔や反応を見て、信頼関係が築けたと判断してから鍼灸治療を開始します。
鍼灸治療と投薬を併用して治療を行っています。治療開始当初の1週間はできれば毎日通院していただき、その後は徐々に通院頻度を減らしていきます。ご自宅でマッサージができる場合は、通院を3か月に1回などに減らすことも可能です。個体差はありますが、鍼灸治療をはじめて1~2週間で状態の改善がみられるケースが多いですね。
当院では基本的に椎間板ヘルニアに対して手術を行っておりません。グレードが進行している子ですと手術をお勧めしますが、悪化していなければ、鍼灸とお薬による治療でも手術と変わらない効果が得られるからです。手術による侵襲を考えると、鍼灸による治療のほうが身体へのダメージが少なく、飼い主様にとっても治療費を抑えられるというメリットがあります。再発率が低いことも利点ですね。
西軽井沢どんぐり動物病院
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