ペットのため学び続ける、皮膚とエイジングケアのスペシャリスト
長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
- 北川犬猫病院 東京都板橋区南常盤台
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- 後藤 慎史 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.031
目次
背骨の間にある椎間板の中身が飛び出す、もしくは椎間板が厚くなって脊髄を圧迫することで、痛みや麻痺などさまざまな症状を起こす病気です。椎間板ヘルニアは、急性に発症する「Ⅰ型」と、加齢により発症する慢性の「Ⅱ型」に分類されます。椎間板ヘルニアは「ダックスフントがかかりやすい病気」として知られていますが、ダックス以外でも高齢なトイプードルやチワワなどの小型犬でも多く見られます。
Ⅰ型の場合は「朝起きたらふらついていた」「散歩から帰ってきたら歩けなくなった」など急に症状が起こります。一方、Ⅱ型では徐々に椎間板の変性が起こりますが、「落ちた」「転んだ」などのきっかけで急激に悪化するケースが多々あります。最近は、首に多発するⅡ型の椎間板ヘルニアが小型犬で増えてきました。
外科治療と内科治療があります。外科治療では手術により原因を取り除き、内科治療では安静にすることで脊髄を正常に近い状態に戻します。適切な治療を行うためにはCTやMRIといった画像診断が特に重要です。検査結果と飼い主さんのご意向を踏まえて治療内容を決定します。痛みだけの軽度のヘルニアであれば内科治療を行うことが多いですが、1年以内に約半分は再発する可能性があるので、手術を提案することもあります。
神経が残っていて感覚が少しでもある場合の改善率は95%以上です。椎間板ヘルニアは早期診断・早期治療開始が大切で、治療が早いほど神経の損傷が少なく筋肉も落ちないので、回復も早くなります。飼い主さんの「早く治ってほしい」という思いに応えるため、事前に検査や治療内容にご納得いただければ、画像検査後にそのまま手術を行うこともあります。その場合は、検査から手術まで2時間程度です。手術での治療が難しかったⅡ型(慢性型)のヘルニアも、最近では手術により改善するケースが増えてきました。治療のためには検査が必須ですが、それぞれ費用がかかるので、メリット・デメリットをお伝えして、検査方法や治療法を選択していただいています。
手術後は速やかにリハビリを開始します。内科治療では、痛み止めの処方やアイシング、鍼治療を行います。
その子の状況に合わせて、徐々にマットやクッションなどを使って適切な運動(起立の維持、補助下での歩行訓練)により、筋肉の低下防止と早期改善を目指します。
術後は1週間程度を目安に退院となります。退院時には飼い主さんに自宅でのリハビリ方法を指導させていただきます。リハビリは毎日行うことが大切なので、少しでも早く改善するように無理のない運動のさせ方をお伝えしています。
CTやMRIなどの機器を導入していること、24時間スタッフが常駐しているので夜間でも重症な子に対して治療ができることが特徴です。専門的な検査機器を備え、獣医師がそれぞれ専門分野をもっているので、さまざまな症例に対応できます。また、高齢の子に対して安全に手術ができるように麻酔の技術を高めたり、看護師もリハビリの勉強をしたりと、病院全体で良い治療ができるように取り組んでいます。
レントゲンや超音波検査と組み合わせることで、さまざまな病気の診断が可能です。椎間板ヘルニアの疑いで来院された方が、画像検査の結果、脊髄の腫瘍や免疫性の関節炎だと判明することもあります。
MRI検査は神経系の病気に対して有効で、てんかんや脳腫瘍などを診断できます。CT検査では複雑な骨折や脱臼、臓器の状態を診るときにも用います。状況にもよりますが、無麻酔で撮影できることもCT検査の利点ですね。最近では整形外科の手術前にCT画像から3Dプリンターで実物を作り、プレ手術(術前に模擬手術)を行うことも可能となっています。
椎間板ヘルニアは難しい病気なので、イラストなど視覚的にわかりやすい資料を用意し、順序立てて説明をしています。また、椎間板ヘルニア治療に限りませんが、治療に対してポジティブでありたいですね。獣医師が自身の治療に不安を抱いている、本当は必要がないと考える治療を勧める、といったことがあれば、そのネガティブな気持ちは飼い主さんにも伝わってしまうことでしょう。自分の考えに自信を持ち、本当に良いと思ったことをお話する。そこではじめて信頼関係が生まれ、飼い主さんから治療を任せてもらえるのです。自信を持って説明ができるように日々勉強を続けています。
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長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
飼い主様だけでなく、地域の獣医師からも紹介先として頼りにされる、外科治療専門の動物病院です。
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