救える命のために手を尽くす、供血犬のいる動物病院
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
- クレア動物病院 大阪府大阪市天王寺区
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- 田中 誠悟 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.022
目次
眼科専門診療では「痛そうに目をつぶったり、痒がったりする」「目ヤニが多い」「目が赤い」などの症状で来院される方が多いですね。もともと通院されている方と、セカンドオピニオンとして他院から来院される方が半々ほどです。当院は一次診療の病院でもあるので、「ちょっと気になる症状がある」と来院された方が、すぐに治療を開始できることが特徴です。
眼の病気は早く対処をするほど治りが早く、逆に放置していると次々にほかの病気を併発する可能性があります。特に急性緑内障では発症後24~72時間以内に眼圧を下げる治療を開始しないと失明してしまうので、目の異常に気付かれたら早めに来院していただきたいと思います。
病気のなりやすさは犬種により異なります。遺伝的に、柴犬には緑内障やブドウ膜炎、ダックスには進行性網膜萎縮症、シーズーには網膜剥離が多く見られます。また、シーズーやパグなどの目が大きい短頭種では、まばたきでしっかりと目を閉じられず、乾燥して傷が治りにくくなっている子が多くいます。白内障は犬種を問わず高齢になると発症しやすく、進行すると失明してしまう恐れがあります。糖尿病の子は必ず白内障を併発し、進行も早いので特に注意が必要です。猫では主にヘルペスウイルスが原因の角膜炎や結膜炎が多くみられますが、ウイルスを抑えることで症状をコントロールできます。
最初に勤めた病院が眼科の専門診療を行っていたことがきっかけです。新人の私にいろいろと教えてくれ、やればやるほど面白く興味を惹かれました。眼科は獣医療の中でも特殊な分野で、「知識」「眼科専用の機械」「機械を扱う技術」が必要となるため、診療を得意としていない病院が多いのが現状です。治療において難しいこともありますが、白内障や網膜剥離で目が見えなくなった子が、手術に成功してお迎えの時に飼い主さんの顔に向かって飛びつく姿を見るときは、本当に嬉しい瞬間です。
代表的な病気として白内障や網膜剥離、緑内障があげられます。「目が見える」ためには、光が角膜と水晶体という2枚のレンズを通過し、ゼリー状の硝子体を通り、目の奥の網膜に届くことが必要となりますが、ほかにもさまざまな器官や神経が関係しています。この中のどこかに問題が起こると目が見えなくなるのです。
視力の低下や失明は飼い主さんが気づきにくいのですが、特に白内障や網膜剥離では痛みがないので、その傾向が強いですね。「高齢になったらあまり動かなくなった」と思っていたら、「実は眼の病気だった」というケースがあります。早めに治療を開始することで眼の機能を維持できますので、少しでも目の周りや行動に変化があれば相談にいらしてください。
白内障は、水晶体のタンパク質が最初白く固まり、その後タンパク質が液化して漏れ出し、ぶどう膜炎から網膜剥離、緑内障など合併症を起こして失明に繋がる病気です。合併症を予防する方法としては目薬と手術がありますが、手術ができる子であれば手術をお勧めしています。網膜剥離や緑内障に進行する危険性が、手術した場合を1とすると、点眼治療が4、なにも治療をしない場合が250と言われているからです。
ご家庭で目薬をするときには、まぶたを上にあげて白目のところに点眼をすると嫌がられにくいのでお試しください。逆に神経が集まっている黒目のところに点眼をすると苦手になってしまう子が多いようです。
裂孔原性網膜剥離が原因で失明した場合は、硝子体手術により視力を取り戻すことができます。網膜が部分的に剥がれている場合にはレーザー治療で進行を防ぐことが行われていますが、全剥離をした場合にはこの手術を行わない限り元に戻すことができません。
硝子体手術では、黒目の横に注射針ほどの小さな穴をあけて硝子体の組織を除去し、剥がれ落ちた網膜をもとの位置に戻します。戻した網膜はシリコンオイルで押さえつける事で復位させます。術後は3日~1週間程度の入院が必要です。
硝子体手術は近年開発された新しい手術で、国内では当院を含めて5院のみで実施しています。今まで網膜剥離による失明には治療の手段がなかったのですが、この手術により「視力を取り戻せる」可能性を提案できるようになりました。アメリカでは7割の症例で視力が回復したとのデータもあります。まだ広く知られていない治療法ですが、多くの方に知っていただきたいですね。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
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