救える命のために手を尽くす、供血犬のいる動物病院
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
- クレア動物病院 大阪府大阪市天王寺区
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- 田中 誠悟 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.050
目次
腎臓病は特にネコの発症が多く、腎機能が低下することでさまざまな弊害を及ぼす病気です。はじめに多飲多尿の症状が現れ、進行すると腎臓から老廃物が排出できなくなり、食欲低下や吐き気、体重低下といった尿毒症の症状も現れます。尿路閉塞や薬物などにより急激に体調が悪くなる急性腎不全の場合は、原因を取り除くことで完治が可能です。一方、加齢や食事などの影響で徐々に腎機能が低下する慢性腎不全の場合は、不可逆性の病気であり完治が難しくなります。多飲多尿といった症状は気づきにくいので、定期的に検査を行い早期発見することが重要です。
「点滴はしないといけないのか」「腎臓食を食べてくれない」といった相談が多いですね。腎臓病の治療に限りませんが「この治療しか方法はない」ということはありませんので、飼い主様の疑問を解消し、その子にできる治療を提案しています。
実際には、検査を行うと腎臓病ではないケースや治療を必要としない段階であるケースが半数程度みられます。BUNやSDMAといった血液検査の1項目だけが高くなっていることから腎臓病だと誤診されているのです。腎臓病の治療に力を入れるようになって初めて気づいたことですが、誤診が多いことに驚いています。
イヌではクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)や甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、ネコでは尿管結石や心疾患が多いですね。
SDMAという血液検査の項目は、腎機能の低下を早期発見できる検査として腎臓病の診断に広く使われていますが、内分泌疾患でもSDMAの値が上がることはあまり知られておりません。そのため誤診されやすいようです。内分泌疾患の子に対して腎臓食を処方すると、肝障害を悪化させることもあるので注意が必要です。
ネコでは、超音波検査を行うと尿管結石が見つかることが多いですね。石を取り除くだけでは再発をしたり、尿管が線維化して再び詰まったりしますので、当院では尿管をつなぎ直す手術を中心に、人工の尿管であるSUBシステムなどの手術も実施しています。
血液検査、尿検査、腹部の超音波検査、血圧測定は最低限実施しております。これらの検査をすでに受けている方もいるかと思いますが、血液検査の項目で異常値が1回出たからといって、すぐに食事療法や点滴が必要となるわけではありません。慢性腎不全であれば、同じ病態が3か月以上続いた時点で腎臓病であると診断ができます。
また当院ではセカンドオピニオンの方には絶食後に来院をしてもらっています。血液検査のBUNは食事の影響を大きく受けますし、尿検査のUPCは興奮するだけでも簡単に数値が上がります。そのため1回の検査では診断ができないこともあるのです。
腎臓病の治療でできることはいくつもあります。早期発見できれば、治療をせずに経過観察して、定期的に検査に来ていただきます。治療が必要になれば、食事療法やリン吸着剤、血管拡張薬などを使用します。症状により定期的な点滴が必要になる子もいます。
新しい治療法として再生医療も取り入れています。ネコの多発性嚢胞腎やイヌの糸球体腎炎など、免疫が関係する病気に対して有効であるとのデータも出ておりますのでご相談ください。
嫌がっている子に点滴をするのは飼い主様も心が折れてしまうことがほとんどです。脱水を起こしている場合などは皮下点滴が必要ですが、その前の段階であれば経口での水分摂取やほかの投薬治療により、点滴をしなくとも問題がないこともあります。点滴が必要な子であっても回数が減らせるよう工夫しています。
腎臓食を食べてくれないのであれば、半分はいつもと同じご飯をあげたり、リン吸着剤を添加したりするなど、別の手段を取ることも可能です。腎臓病の治療において食事療法は重要ですが、そこに囚われすぎる必要はありません。腎臓食は、脂肪が多くタンパクが低いご飯なので、膵炎や筋肉量の低下といったリスクも持ち合わせます。腎臓病以外の病気を併発している子では、ほかの弊害が出る恐れもあります。
またご自宅での投薬も治療の要です。錠剤、粉薬、液体など薬の形状も複数あります。腎臓病は治る病気ではなく一生付き合っていく病気なので、飼い主様の生活環境も考慮した上で、ワンちゃんネコちゃんにとってもストレスにならない治療を提案しています。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
ペットと長く楽しく過ごせる治療を選択するために、高度な機器と技術で消化器型リンパ腫を診断します。
ペットにも起こる、腎不全と心腎関連症候群。細やかに状態を把握し、適切な治療を行う必要があります。