あろう動物病院 千葉 濯 院長 | ドクターズインタビュー

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街の頼れる獣医たち vol.060
あろう動物病院
  • 千葉 濯 院長
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宮城県大崎市にある「あろう動物病院」は、EBM(根拠に基づく医療)とNBM(対話による医療)を融合させた獣医療の提供を目指す動物病院だ。動物と飼い主へ細やかに心を配り、スタッフ全員でEBMとNBMの両立を実践している。一般的な診療のみならず、腫瘍や皮膚疾患などの専門性の高い治療も得意とする千葉 濯(あろう)院長は、救急医療や高度医療の豊富な経験を持つ。良質な獣医療を提供するために多くの学会に所属し、常に知識や技術のブラッシュアップを重ねている。「この仕事が大好きです。仕事も、そのための自己研鑽も一生続けたい」と語る千葉院長へ、診療方針や同院での取り組み、専門診療についてお話を伺った。(取材日 2023年2月10日)

根拠と対話を重視し、「動物と飼い主様の目線に立った獣医療」を提供

― EBMとNBMの融合による獣医療を心がけているそうですね。

EBM(Evidence-Based Medicine)は、「科学的・医学的根拠に基づく医療」です。NBM(Narrative-Based Medicine)は「物語と対話による医療」と訳され、当院では動物とご家族の事情や意向を尊重する医療と受け止めています。
獣医療は、根拠に基づいていることが基本です。しかし、それだけでは良質な獣医療は提供できません。臨床現場では獣医師の「助けたい」という想いが先行するあまり、動物の負担やご家族の心情への配慮が薄れてしまうことがあります。そうならないために、NBMが重要となるのです。
私は救急医療を長く経験し、命の瀬戸際にある動物と対峙する中でNBMの重要性を肌で感じてきました。飼い主様の心情を汲み取って治療方針を考えること。言葉の一つひとつに配慮すること。それらを自分の病院でも実践したいと考え、開業以来「動物と飼い主様の目線に立った獣医療の提供」を診療方針として掲げています。

― EBMとNBMを融合させた獣医療の具体的な取り組みを教えてください。

まずEBMを実践するために行っているのは、最新の情報収集です。所属学会のオンラインセミナーでは、臨床研究や治験に関する発表、第一線で活躍する先生方のディスカッションなどを聞いて知見を増やします。獣医師同士の情報交換会や症例検討会、現地実習に参加することもよくありますね。基本的に持てる時間は勉強に費やし、自己研鑽に努めています。
次にNBMですが、私だけでなくスタッフ全員で実践している取り組みです。症状はもちろん、しぐさや表情から動物の気持ちを読み取り、また対話を通してご家族の事情を理解し、その意向を尊重した治療を行っています。動物と飼い主様に寄り添う姿勢は、みんなが持ってくれていると思いますね。

― なぜ、多くの学会に所属されているのでしょうか?

開業前は3つだけでしたが、いつのまにか13の団体に所属することになっていました。より良い治療の提供を目指す中で、必要性を感じて加入した学会ばかりです。
常に発展を続ける獣医療の世界では、最新の情報や技術をキャッチアップできない獣医師は取り残されてしまいます。それで不利益を被るのは、動物とご家族です。ですから、学会を通じて知見や技術を得るのは勿論のこと、「それをどうしたら還元できるか」を常に考えています。

幅広い治療を提供しながら、腫瘍や皮膚疾患、整形外科の専門診療にも対応

― 救急医療や高度医療のご経験もあるとお聞きしました。

将来の開業を見据えて、獣医療における幅広い視点を身に付けたいと考え、救急医療・高度医療を担う動物病院に勤めていました。地方にある動物病院は、地理的な要因ですぐに大きな病院と連携することが難しい場合があり、獣医師に求められる守備範囲も必然的に広くなります。ここで質の高い診断・治療を提供し、二次診療へとつなぐことができれば、その先の治療や予後も変わっていくはずです。実際に開業後は、これまでの経験が役立っていると感じることが多いですね。

― 獣医腫瘍科認定医の資格も取得されていますね。

腫瘍疾患は私が得意とする診療のひとつで、獣医腫瘍科認定医(II種)を取得しました。治療は外科手術、抗がん剤による化学療法、免疫療法に対応し、放射線治療のみ専門の病院を紹介しています。良性の場合も継続的にフォローアップを行っています。
皮膚疾患で転院されてくるケースも多く、その中でも食物性アレルギーとアトピー性皮膚炎をよく診ています。口コミで当院を知っていただくことが多いようです。
また整形外科では、外傷・骨折治療のグローバルスタンダードといわれるAOVETの上級者向け実習セミナーを修了しており、前十字靭帯断裂、膝蓋骨脱臼などの手術や関節炎の疼痛管理を中心に行っています。

― 最後にメッセージをお願いします。

医師とスタッフ全員で、「動物と飼い主様の目線に立った獣医療の提供」を目指す動物病院です。開院して6年になりますが、このような病院運営が出来ているのはスタッフのおかげといっても過言ではありません。今後も全員で力を合わせ、地域のみなさんが安心して大切な家族を任せられる存在になりたいですね。
どんなご相談に対しても、出来る限り全力でお応えしたいと思っています。初めての方も、一度受診されたことがある方も、ぜひお話をお聞かせください。

医師と全スタッフで実践する、EBMとNBMを融合させた獣医療

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住所
宮城県大崎市古川福沼3丁目13−21
電話番号
0229-25-4307
診察動物
イヌ ネコ ウサギ ハムスター フェレット
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 生殖器系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 心の病気 けが・その他