犬と猫のリンパ腫、検査で分かることと分類ごとの治療について
リンパ腫はタイプごとに治療方法も予後も異なる。正しい診断が最善の治療につながります。
- 水谷 格之 副院長
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「グラース動物病院」「グラース猫の病院」「ウェルネスセンター」の3院で連携して、「よりやさしく、より確実な医療」を提供しています。その医療の実現のために、2019年に病院をリニューアルしました。24時間365日、獣医師・看護師が常駐しているので、夜間にも急患の対応や入院中の子のお世話ができます。定期的な投薬が必要な子の治療だけではなく、体を動かせない子の体の向きを変えてあげて、床ずれや血栓を防ぐケアも行います。みんなで協力して、一人ひとりの得意分野を活かしたチーム医療を実践していることも特徴ですね。
手術室の機械の拡充、集中治療室・猫専用入院室の設置、診察室の増設など、設備面が大きく充実しました。当院の隣で同時に開院した「グラース猫の病院」は、ネコちゃんだけのクリーンな空間です。私も猫の病院に入るときにはワンちゃんの毛を持ち込まないように注意しています。
手術室では、腹腔鏡とCアーム(X線透視装置)という機械を導入しました。導入以前は、二次診療施設をご紹介することや、やむを得ず確定診断ができていない状態で治療を行うことがあり、歯がゆく思っていました。現在は治療方法や検査の幅が広がり、獣医師としてとても喜ばしいです。
はい、飼い主様には「負担が少ない手術」とご案内をしています。たとえば腹腔鏡を用いると、5mmから2cmほどの傷口が1つから3つで手術や検査ができます。「負担が少ない」には、体への侵襲が少ないだけではなく、入院日数が少なくなることも含まれます。動物にとってご家族と離れて入院することもストレスとなり、食欲がなくなる子もいますので、そういった子にも低侵襲手術医療を検討していただきたいですね。
避妊手術と膀胱結石の手術で使用することが多いですね。今までの避妊手術では2泊してもらっていましたが、腹腔鏡を用いると1泊で帰ることができます。膀胱結石の手術では、結石を除去したあともカテーテルを数日間入れたままで治療を行うために入院期間が長く必要でしたが、日帰りもしくは1泊の入院で治療が完了するようになりました。また、目視では見落とすような小さな結石も検出しやすいメリットがあります。他にも、肝臓や腎臓など体内の組織の一部を採取する生検や、特殊な道具の併用による消化管の検査や切除も、体内を汚染することなく行うことができます。腹部だけでなく、心臓や肺など胸部へのアプローチも可能です。
透視機能により、リアルタイムでレントゲン画像を描出できる機械です。臓器の動きを見られますし、手術中に任意の部位のレントゲン撮影もできます。整形外科の手術では、従来は事前にレントゲンを撮り、患部の状態や手術方法をシミュレーションしてから手術に臨んでいましたが、陰に隠れる部分など撮影できない箇所もありました。Cアームを使用すると手術中にリアルタイムで骨の様子を確認できるので、より確実な手術ができるようになるのです。
当院では、従来の手術方法(背外側アプローチによる片側椎弓切除術)とは異なる、小範囲片側椎弓切除術など侵襲の少ないと考えられる術式を積極的に用いています。椎体の安定性を損ないにくく、脊髄への障害が起きにくい反面、手技が難しい術式ですが、Cアームの使用によりスムーズな手術が可能となりました。さらに、手術直後からリハビリを行うことで、早期のよりよい機能回復を目指します。リハビリをしなくても歩けるようにはなる子もいますが、「少しでも早く歩けるように、ふらつかないようにしてあげたい」との思いから、ウェルネスセンターと連携してリハビリを行っています。良い手術をするのは当たり前、手術後のサポートも注力しています。
患者さんの気持ちに寄り添うことを大切にしています。「こういった情報が知りたいのでは」「これはしてほしくないのでは」など、自分が患者さんの立場だったらどうしてほしいかを常に考え診療を行っています。ご家族様とその子に合わせた、よりやさしく、より確実な医療を心がけ、安心して通っていただけるように日々向上してきたいと考えています。ご不安なことは気軽にご相談ください。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
ペットと長く楽しく過ごせる治療を選択するために、高度な機器と技術で消化器型リンパ腫を診断します。
ペットにも起こる、腎不全と心腎関連症候群。細やかに状態を把握し、適切な治療を行う必要があります。