救える命のために手を尽くす、供血犬のいる動物病院
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
- クレア動物病院 大阪府大阪市天王寺区
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- 田中 誠悟 院長
犬・猫だけではなくエキゾチックアニマルもしっかりと診療する、という想いを込めて名付けました。「エキゾチックアニマル」という言葉は聞きなれないかもしれませんが、「犬・猫以外の家庭で飼育できるペット全般」を指します。
犬猫を診ている動物病院は多いですが、エキゾチックアニマルを診ている病院は、まだまだ少ないのが現状です。獣医師というと「動物なら何でも診察できるお医者さん」と思われがちですが、動物の種類によって、「なにを食べているか」「どういう環境が快適なのか」「どんな病気になりやすいか」といった特徴は全く異なるので、そんなに簡単な話ではありません。私は「どんな動物でも診療できる獣医になりたい」という思いから、積極的にエキゾチックアニマルの診察に取り組んできました。
ちなみに「BEN」は学生時代のあだ名から取りました。当時は厚い眼鏡を掛けていて、アニメに登場するキャラクターの「勉三さん」に似ていたのです。患者さんから「ベンさん」と呼ばれるような間柄になれたら良いですね。
物心がついたころには、虫やトカゲを捕まえていた記憶があります。実家は常に多くの動物に囲まれる環境で育ったので、「動物の専門家になろう」と小さい頃から思っていましたが、進路を決めたのは高校生2年生の時です。色々な動物を飼っていると、「インコがご飯を食べない」とか「カメの元気がない」とか、うまくいかないこともあるんですね。そんな体験から、「どんな動物でも快適な環境で長生きさせたい」と思うようになり、獣医師を目指しました。
そうですね、飼ったことのある動物は100匹を超えていると思います。犬や猫はもちろん、ハムスター、セキセイインコ、イモリ、カエルもいました。ハムスターやツメガエルは子どもを産んで増えましたし、クランウェルツノガエルも集団になっていましたね。カエルは長生きをしない印象がありますが、18年間生きていた子もいます。大学生の頃にはさらに動物が増えて、アルバイトで稼いだお金は温室に変わりました。獣医になってからは、カメレオンやハリネズミも自宅に迎えています。
動物ごとに「どんな食べ物が合っているのか」「どんな環境が快適なのか」といった特徴も全く違いますので、家に迎え入れた子からは様々なことを教えてもらっています。「ルーティーンの中に、ルーティーンではない事柄を見出す」ことが、大切だと思います。その子の普段の生活からその子にあったものを見つけていくんですね。日々新しい発見があります。
学生時代から動物病院の実習で経験を積みました。実際に動物を診ると分かることも多いので、実習はとても勉強になりました。当時、実習をしていた病院の先生には、今でもお世話になっています。他には、獣医学の専門書や飼育の本を読んだり、ペットショップにもよく行ったりしました。友人と、東京中の専門店を1日中ハシゴして回ったこともあります。
勤務医としては3か所の病院で勤めています。
大学を卒業して最初に勤務したのは犬猫をメインに診ている病院で、犬猫の様々な症例を勉強させてもらいました。先輩から『まずは犬や猫をしっかりと診られるようになった方が、よりエキゾチックアニマルへの理解が進む』とアドバイスをもらったのがきっかけでした。
エキゾチックアニマルは生態が不明だったり、治療の基準となる数値が存在しないものも多かったりするので、診療が難しいのです。ですから、先に獣医師の基礎として犬猫を勉強することができて、良かったと思います。
その後、2院目にエキゾチック専門の病院に勤務し、3院目は当院と同じように犬猫とエキゾチックを診察する病院で勤務しました。2院目では、大型のオウムからアルマジロまで、数多くの動物種の症例を診療しました。3院目では、夜間や救急診療も経験しています。深夜に鳥の「卵詰まり」での急患などが多かったですね。自分で飼育したことのある動物も多いですが、獣医師としての診療方法を多くの先生に教えてもらいました。先生や動物から教わった知識・経験を今度は患者さんに還元していきたいですね。
「近くに小動物を診てもらえる病院ができたから」という理由で来られる方が多いですね。犬猫より小動物の子のほうが多いくらいでしょうか。
犬や猫を診察する際は、「ワクチン接種をしてほしい」とか「痒そうにしている」など、飼い主様の目的や問題が明確であることが多いのですが、エキゾチックの場合は私の方から家庭での飼育環境や状態をお聞きして、問題があるかどうかを明確にしていくことが多いですね。
当院の患者さんは、鳥やウサギ、モルモット、ウーパールーパーなど様々ですが、一般的にはエキゾチックアニマルを動物病院に連れて来られる方はまだまだ少ないので、そのような動物を診察できるというのは嬉しいことですね。
元気そうに見えても、エキゾチックの子は特に自分の体調不良を限界まで隠そうとするので、早めに健康チェックに来てほしいと思います。
肉食系の動物と、草食系の動物で、それぞれ別の部屋を用意しています。「狙う側の動物」か「狙われる側の動物か」の違いですね。猫の臭いがする部屋で鳥やハムスターを診察するとパニックになる子もいますので、ストレスを感じさせない環境で正確な診断をするためにも重要です。
診察室の設備も異なります。犬や猫、フェレットを診察する第一診察室は、一般的な動物病院の診察室と同じ作りをしています。一方、エキゾチックを診る第二診察室では器具が異なり、体重計は新生児用と料理用の量りを用意しています。また、エキゾチックの重篤患者では触っただけで死んでしまう場合もありますので、天井から垂らしている酸素チューブとプラスチックケース、サランラップで即席の酸素室を作れるようにしています。他にも、爪切りや聴診器、口の中を見るための人間用鼻鏡など、エキゾチックアニマル専用の器具を備えています。
ヘッドライトもよく使う道具の一つですね。先日は、トカゲモドキのまぶたについた脱皮の皮を剥がすために活躍しました。
鳥類を診察する際には、まず体重測定と糞の検査を行います。文鳥などの小鳥は体重が30グラム以下と非常に軽いのですが、正確に体重を量ることで、異常がないかどうかを確認できます。
糞の検査では、カビの有無を確認します。健康そうに見える子でも、「マクロラブダス」というカビが、大量に消化管に沸いている例をよく見ます。インコ類を飼い始めたら、まずは検便です。鳥は病気を隠すのが上手い動物ですので、「先手を打って動く」のが肝要です。クラミジアやPBFD(オウム類嘴羽毛病)といった病気は、潜伏感染していることの方が多いので、元気な時から動物病院とお付き合いをしておくのが良いでしょう。
そうですね、私もハリネズミを飼育していますが、テレビやSNSを通じて可愛らしい姿で人気を集めていることもあり、飼っている方が増えているようです。
しかし、ハリネズミは「中級者向け」の難易度の動物です。診察では、「モグラの親戚」と説明しています。保温が必要ですし、食事が特殊です。ハムスターに比べて、触れるようにするためにはコツが要ります。ですから、診察の際には、初めての方でも短時間で「中級者」になれるように、話をしています。
また、ダニに感染していることが非常に多いので、注意が必要です。ハリネズミが痒がるだけではなく、人間にも感染することがあります。ですから、ご家庭にハリネズミを迎えた時には、まず病院に連れてきてほしいですね。
ダニに感染したハリネズミはフケが多く出るので、フケを顕微鏡で見ることで検査ができます。もしダニに感染していたとしても、駆虫薬で治療することができるので、ご安心ください。
飼い始めたらすぐにフケやヒフの感染を検査し、その後は1年に1回は病院でヒフの検査をしてほしいと思います。他に、歯肉炎や腫瘍といった病気にもなりやすいので、定期的な検査はとても大切ですね。
トカゲやカメ、カエルなどの診察も行っています。私自身、色々な子を飼っていましたので、その経験を交えてお話しをすることが多いです。
今でも悔やまれるのですが、初めて「エジプトミドリヒキガエル」を飼った際に、名前から想像して「湿度はあまり高くない環境が良いだろう」と乾燥した環境で飼育したら、死なせてしまったことがありました。その後、2代目の子を迎えた際、試しに多湿の環境で飼育をしてみたら、とても元気に育ったんですね。「エジプト」という言葉にミスリードされて、本質から遠ざかってしまった訳です。二代目の子を育てる際には、情報よりも「観察」や「考察」を大切にして飼うようにしました。「事前情報は、よく吟味しなければいけない」という、良い例です。ヒキガエルからは多くのことを教えてもらいました。
爬虫類や両生類の飼い主様は、手探りで飼育されている方も多いと思います。病気の検査はもちろん、私自身の経験から飼育のアドバイスもできますので、元気な子でも遠慮せずに連れて来ていただきたいですね。
インターネット上には間違った情報もありますし、そもそも、検索をしても情報が何も出てこないことも多いので、話を聞きにきていただきたいと思います。
爬虫類・両生類の治療や手術を行わない病院は多いですが、当院では症例が豊富で、両生類の麻酔や薬などの用意もありますので、手術を行うことも可能となっています。
まずは、動物をご自宅に迎える前に、体重計と温度計を準備してください。
動物は本能的に体調の悪さを隠そうとするので、外から見ているだけでは異変に気づきにくいのですが、定期的に体重を計ることで少しでも早く異常に気付くことができます。飼育環境の中では、温度管理も大切ですね。人と小動物とでは、暑さ・寒さの感覚が違います。
例えばハリネズミはアフリカの動物ですから、20度以下になると体調を崩します。ですから冬場はヒーターなどで温める必要があるのですが、ヒーター1本で温かくなるのか、それとも2本必要なのかは、温度計がないと分かりません。飼っている子のために、快適な環境を整えることを心がけてほしいですね。これは、「愛情を知識や技術に変える」作業です。
また、前提として、「エキゾチックアニマルの99%の種類はペットに向いていない」ということを心にとどめていただきたいです。真面目な飼い主さんに怒られてしまうかもしれませんが、エキゾチックアニマルの多くは正しい飼育環境や病気の予防・治療方法が詳しく分かっていない動物です。しかし、予め知っていれば防げるトラブルや病気もあります。ですから、それを飼い主の方にお伝えすることで、少しでも快適な環境で長生きできるようにお手伝いしたいと思っています。
わんちゃん猫ちゃんの飼い主様も多く来院されています。犬だけ、猫だけの飼い主さんが来院されても満足してもらえる様に心掛けています。
小動物の診察では、飼い主様から色々とお話を聞いているうちに診察時間があっという間に30分経ってしまうことがありますが、それは犬猫の診察でも同じです。犬や猫についても、お伝えしたい話は大量にストックしていますので、飼い主の方の話も聞きたい……自分の知っていることも伝えたい……と、ついつい色々と喋ってしまいます。
犬の飼い主様とは、しつけの話で盛り上がることも多いですね。犬種によってしつけの方針は違いますし、個々の性格も違います。オーダーメイドの対応ができるようになるためには、「引き出しの多さ」が必要です。「ペットの飼育の法律があるドイツでは……」というような話をすると、また長くなってしまいます。
また、犬猫の獣医学セミナーは、エキゾチックアニマルのそれに比べて、充実度は桁違いです。犬猫専門医の先生の話も興味深く聞きますし、現場で自分が感じてみないと身に付かないことがあります。私は、犬や猫の診察もしっかりと対応した上で、「犬猫エキゾ」のスタイルを行っていきたいと考えています。
犬であれば、フィラリア予防薬の普及によりフィラリアで亡くなる子は激減しましたし、ワクチン接種はジステンパーやパルボの予防に効果を発揮しています。同じように、犬や猫、エキゾチックアニマルとその飼い主様に対して、予防や飼育相談など動物病院として支援できることをもっと増やしていきたいですね。
エキゾチックアニマルでは、「飼い始めたときに病院に行こう」という発想がまだ浸透していませんが、「病院に行くのが当たり前」にしたいと考えています。
体調に問題がないと思われる時でも、「BENに来て雑談する」くらいの気持ちで、気軽に動物病院に来てください。動物は病気を隠してしまいますので、定期的な健康チェックが大切です。また、飼い始める時点で知っていれば防げる病気の知識や、ペットや飼い主様が快適に過ごすためのアドバイスについてもお話できると思います。「獣医師としての知識」と「飼い主としての経験」を伝えることで、ペットと飼い主様の暮らしがより良いものになれば嬉しいですね。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
ペットと長く楽しく過ごせる治療を選択するために、高度な機器と技術で消化器型リンパ腫を診断します。
ペットにも起こる、腎不全と心腎関連症候群。細やかに状態を把握し、適切な治療を行う必要があります。