⻘葉どうぶつ医療センター 林 佑将 院長 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.080

犬の跛行(足を挙げる)には注意。前十字靭帯断裂の診断と治療
整形外科系疾患
犬の跛行(足を挙げる)には注意。前十字靭帯断裂の診断と治療
⻘葉どうぶつ医療センター
  • 林 佑将 院長
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横浜市青葉区の「青葉どうぶつ医療センター」は、林佑将院長の「困ったときにいつでも頼りにできる病院でありたい」という想いから、365日休まずに診療を行っている。同院が得意とするのは、整形外科や腫瘍外科などの、小動物に対する外科治療だ。林院長は日本小動物外科専門医協会が実施する外科レジデントプログラムや各種学会、海外のセミナーなどへ積極的に参加し、整形、脊髄、腫瘍といった幅広い外科治療の知識をアップデートし続け、治療技術に磨きをかけている。今回は、犬によく見られる「前十字靭帯断裂」について、発症のメカニズムや診断、治療などのお話を伺った。(取材日 2024年11月26日)

多くの要因により脆くなる前十字靭帯。徐々に断裂が進んでいることも

― 貴院では動物の外科診療を得意とされているそうですね。

私は幼少期から動物が好きで、動物に関わる仕事につきたいという思いから獣医師を目指すようになったのですが、短時間で劇的な回復が期待できる小動物外科に強く興味を惹かれました。そして獣医師になった現在でも、日本小動物外科専門医協会が若手を育成するために実施している外科レジデントプログラムで学び続けているほか、海外で行われるセミナーへの参加や症例の研究などを通じて、知識・技術のアップデートを心がけています。
動物医療の外科診療の中で、主に整形外科、脊髄外科、腫瘍外科の3つに対応できることが当院の強みといえるかもしれません。もちろん内科にも力を入れており、再生医療など幅広い治療を提供しています。

― 犬の前十字靭帯断裂とは、どのような状態なのでしょうか?

膝には脛骨(すねの骨)と大腿骨をつなぐ「前十字靭帯」と呼ばれる靭帯がありますが、ここは加齢や解剖学的特徴などによって脆くなりやすいのです。そのほか肥満、遺伝、性ホルモンなどの影響も受けて、やがて断裂してしまうのが「前十字靭帯断裂」です。徐々に傷んで断裂に至ったり、遊んでいる時に急な衝撃を受けて一気に断裂してしまったりとさまざまなケースがありますが、犬が突然足を挙げるようになったら速やかに受診してください。

― 前十字靭帯断裂の診断はどのように行われるのですか?

飼い主様から「歩き方がおかしい」という相談を受けた際は、その様子をスマホなどで撮影していただくようお願いしています。その動画をスロー再生しながら、どの足に問題があるのかや、どのようにおかしいのかを確認します。診察台の上ではわからないことが実際に歩く姿から見えてくることも多いですし、そもそも不調を来している足は1本だけではないかもしれません。
そして最も大切なのは、「足の不具合が何によって起こっているのか」をしっかりと調べることです。犬の前十字靭帯断裂はよくみられる疾患ですが、骨のがんやリウマチなどが原因で足を挙げることもあります。ですから初診の際は丁寧に触診を行うとともに、レントゲンやエコーを用いた検査のほか、リウマチが疑われる場合は血液検査も行い、異常の原因究明を図っています。前十字靭帯断裂自体は命にかかわる病気ではありませんので、それよりも優先して治療すべき疾患を発見したならば、そちらから手をつけなければなりませんからね。ちなみに、がんなどの疾患が見つかった場合は、がんの治療を優先しなければなりません。

前十字靭帯を再建するのではなく、前十字靭帯がなくても大丈夫な足に

― 前十字靭帯断裂と診断された場合、どのような治療を行うのでしょうか?

基本的には手術になりますが、麻酔前検査を行った上で、麻酔や予後のリスクについて飼い主様と話し合い、手術を見送り保存治療を行うこともあります。まだ若く前十字靭帯以外に問題がない場合は、診断時から出来るだけ早期に手術を行います。当院では「TPLO(Tibial Plateau Leveling Osteotomy)」という90年代にアメリカで開発された術式を採用しており、世界的な治療実績を見ても最良の選択肢と考えています。

― TPLOという手術について教えてください。

日本語で「脛骨高平部水平化骨切り術」という、脛骨の一部を切り回転させ、大腿骨と関節でつながっている部分の角度を調整し、ボルトとプレートで固定する手術です。もともと犬は脛骨の関節面が斜めなので、脛骨と大腿骨が滑りやすく、それらをつなぐ前十字靭帯に負担がかかりやすい構造になっています。脛骨の関節面を切って水平にすることで、術後の安定性が高くなるのがメリットです。
断裂した靭帯の代わりに大腿筋膜を移植する手法などもありますが、その筋膜は数か月で消失してしまうため根治には至りません。前十字靭帯を再建するのではなく、前十字靭帯がなくても大丈夫な足にしようというのが、TPLOの考え方です。

― 手術にあたって気をつけることはありますか?

TPLOは全身麻酔で行いますので、麻酔前検査を実施することになります。食事をとると腎臓の数値などに影響を与えてしまうことがあるため、手術当日はなるべく食事を控えてください。術後は5〜7日ほど入院していただきます。退院後は、適宜傷口に軟膏を塗っていただきつつ、ケージなどで安静にさせてください。退院から1週間後に抜糸、1か月後に再診。そこで問題がなければ完治となりますので、好きなだけ走り回らせてあげて構いません。

ドクターからのメッセージ
  • 林 佑将 院長

病気や怪我は、いつ起きるかわからないものです。困ったときにいつでも頼りにできる病院でありたいという想いから、当院では365日休まずに診療を行っています。「かかりつけの動物病院が、今日に限ってお休みだった」、そんな時のピンチヒッターとしてお役立ていただいても結構です。整形、脊髄、腫瘍といった幅広い外科治療に取り組み、内科、再生医療にまで注力しているのも、飼い主様やペットにとって便利な病院でありたいからです。犬の前十字靭帯断裂だけでなく、骨折治療や膝蓋骨脱臼、腫瘍外科や一般外科に関しても豊富な知識と執刀経験があります。ぜひ、安心してお任せください。

犬の跛行(足を挙げる)には注意。前十字靭帯断裂の診断と治療
犬の跛行(足を挙げる)には注意。前十字靭帯断裂の診断と治療

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神奈川県横浜市青葉区桂台1丁目2-10
電話番号
045-500-9033
最寄駅
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東急田園都市線「青葉台駅」よりバス(51系統日体大行)に乗車し「公園前」バス停で下車
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診察動物
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