木と土のにおい、陽の光。動物に優しく自然に近い動物病院
犬猫別の入口、専用待合室と診療室を備えつつ、森の中のような環境でお待ちしています。往診も対応します。
- 緑の森どうぶつ病院 豊岡病院 北海道旭川市
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- 榎土 慶 先生
- 曽我部 由希子 先生
頼れる獣医が教える治療法 vol.065
目次
当院では「気軽に安心して立ち寄れる病院」を目標に、お散歩やお買い物ついでにお越しいただけるよう、明るく相談しやすい雰囲気を大切にしています。開院から2年のため、来院されるワンちゃんは0歳~2歳と比較的若めです。定期健診や予防外来はもちろんのこと、しつけセミナーやパピークラスなどのパピーケアにも取り組んでいます。
特に力を入れている分野は循環器診療で、僧帽弁閉鎖不全症の診断や治療、セカンドオピニオンを行っています。循環器疾患は初期症状が分かりづらく、発見が遅れてしまうケースも少なくありません。早期に発見してワンちゃんの健康を守るために、月一回の定期健診をお勧めしています。
僧帽弁閉鎖不全症は、7歳以上の高齢の小型犬~中型犬に多い病気です。心臓の左心房と左心室の間に僧帽弁と呼ばれる弁があり、これがうまく機能しなくなると血液の逆流が生じ、様々な症状が現れます。
初期の段階ではほとんど症状が無いため、外から見て異常を発見するのは困難です。中期以降になると、息苦しそうに呼吸をする、咳をするなどの症状が現れるように。さらに悪化すると、心不全に近い状態に陥ってしまう場合もあります。
病気の進行度合いには個体差があり、数年が経過してもほとんど悪化しない子もいれば、半年~1年で初期症状から心不全に近い状態まで悪化してしまう子もいます。病状に合わせてタイミングよく治療を開始し、こまめに経過観察を行うことが大切です。
僧帽弁閉鎖不全症は加齢と遺伝が主な発症原因のため、有効な予防法はありません。また目に見えて分かる症状が出ている時点では既に病気が進行しており、早期発見がとても大切です。悪化すると心不全に罹ってしまうケースも多く、命を落としてしまうこともあります。
当院で僧帽弁閉鎖不全症と診断されるワンちゃんは、その多くが定期検診での聴診で心雑音が認められ、病気の発見に至りました。適切なタイミングで治療を開始できれば、発見が遅れたケースと比較して3年以上長く生きられる場合もあります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療法は、外科治療と内科治療の2種類です。外科治療では手術を行うことで、完治も期待できます。外科治療が必要な患者様には信頼できる病院様を紹介させていただいています。内科治療では投薬が中心となり、病気を根本的に取り除くことはできませんが、症状を抑える、進行を遅らせることが可能です。適切なタイミングで投薬を開始することで、平均寿命前後まで天寿をまっとうできるワンちゃんもたくさんいます。
まずお話するのは、外科治療を行った症例です。ワンちゃんは7歳のマルチーズで、ワクチン接種の際に聴診で心雑音が聴こえたことから、僧帽弁閉鎖不全症の発見に至りました。発見した時点では治療を開始するレベルではなかったため、経過観察を実施。半年後に病気の進行が認められたため投薬治療を開始しましたが、進行が速く心不全を発症するリスクが高かったため、外科治療を提案しました。紹介先病院での手術は無事成功し、現在も心不全などに悩まされることなく元気に過ごしています。
続いてお話するのは、内科治療のみの症例です。ワンちゃんは9歳の雑種で、来院時の主訴は咳でした。検査の結果、血流の異常により大きくなった左心房が気管を圧迫し、咳を誘発している状態だと判断。心臓の負担を軽減する薬で治療を開始したところ、咳は治まり、2年弱経過した現在も元気に過ごしています。
外科治療と内科治療の選択は、病気の進行具合や年齢などによって変わってきます。そしてどのような治療を行い、どのような一生を過ごして欲しいのか、考え方も様々です。飼い主様の意向も汲み取りながら、病状を総合的に判断し、治療法を提案していきたいと考えています。
また心臓の病気は、僅かな変化を察知し、いかにタイミングを逃さず治療を行えるかが重要です。月に一度、経過観察やお薬の処方で来院いただく際には、咳がちょっと増えた、なんとなく元気がないなど、小さな変化を見落とさないよう密なコミュニケーションを心がけています。
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犬猫別の入口、専用待合室と診療室を備えつつ、森の中のような環境でお待ちしています。往診も対応します。
予約診療制で時間をかけてじっくり対話し、飼い主様と動物の立場で診療することを大切にしています。
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。