医師と全スタッフで実践する、EBMとNBMを融合させた獣医療
EBM(根拠に基づく医療)とNBM(対話による医療)を両立し、動物とご家族の気持ちに寄り添います。
- あろう動物病院 宮城県大崎市
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- 千葉 濯 院長
頼れる獣医が教える治療法 vol.049
目次
股関節形成不全は、成長に伴って進行していく疾患です。股関節に緩みのある不安定な状態で動かし続けることで、負担がかかって痛みが出ます。初めに症状が出やすいのは成長期で、後ろ足をかばう、座り方が変わる、段差を嫌がる、ウサギ跳びのように走るといった変化が見られます。一度症状が落ち着いても、関節の変形が進んだ中年期以降に再び強い痛みが現れることがあります。
愛犬のそのような症状に気が付いたら、まずは動物病院で診てもらうことが大切です。特徴的な走り方だけでは診断できませんし、後ろ足をかばっていても、股関節以外の場所の問題であったり、股関節と膝など複数の部位に問題があったりする可能性も考えられます。整形外科では関節の動きや可動域を確認し、どこに異常があり、何が症状の原因なのかを丁寧に見極めていきます。
股関節形成不全があっても、多くの患者では体重管理や適度な運動、理学療法、サプリメント、投薬などを組み合わせることで、手術をせずに生涯を過ごせるといわれています。まずはこうした方法で痛みをコントロールし、それでも改善が難しく、日常生活に支障が出る場合に手術を検討します。
また、症状が出る前、もしくは軽微なうちに予防的な治療を行うことも選択肢の1つです。特に股関節形成不全のリスクが高い大型犬では、若いうちから検査を受け、将来的なリスクを評価することが一般的になってほしいですね。早期に股関節の緩みが見つかれば、生後4〜6か月頃には骨盤の成長を利用する「若齢恥骨結合固定術」を、またその時期を過ぎても関節の変形が進む前であれば、骨盤を切って角度を変える「骨盤骨切り術」を検討できる場合があります。いずれも実施できる時期が限られるため、早期診断によって治療の選択肢を増やすことが重要です。
人工股関節にする手術は「全股関節置換術」と呼ばれ、傷んだ股関節を人工の関節に置き換えて、痛みの軽減と運動機能の回復を目指す治療です。例えば「常に足をかばっている」「動きたがらない、散歩に行きたがらない」「毎日鎮痛剤が必要」といった状態で、体重管理や運動管理、投薬などを行っても痛みが改善せず、生活の質が低下している場合に救済的治療として提案します。たまに痛みが出ても薬で落ち着けることができ、普段は薬なしで快適に生活できるならば経過を見ることもあります。最終的な選択肢の一つとして、その子がどの程度痛みや不自由を抱えているかを見ながら判断しています。
股関節の疾患に対して広く用いられる大腿骨頭頸部切除術は、痛みの原因となる大腿骨頭と頸部を切除するものですが、小型犬では良好に生活できるようになるケースが多い一方、中・大型犬では運動機能が大きく低下する恐れがあります。全股関節置換術ならば、痛みの軽減だけでなく、歩行や走行といった運動機能の回復、維持が期待できます。
脱臼や骨折などの合併症が起こる可能性がありますので、まずは「本当にこの子に必要なのか」「ほかの方法では難しいのか」を慎重に判断します。そのうえで実施が決まれば、合併症を防ぎ、人工関節をできる限り長く良い状態で使えるように施術することが重要です。全股関節置換術には高度な専門技術が求められるため、私自身もメーカーが定めるトレーニングを受け、必要な資格を取得しました。そして資格を取れば終わりではなく、現在も定期的に研修に参加し、技術を磨き続けています。
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EBM(根拠に基づく医療)とNBM(対話による医療)を両立し、動物とご家族の気持ちに寄り添います。
「本当にこの子に必要な手術なのか」慎重に判断し、長く良い状態で使える人工関節を提供しています。
CT検査やセカンドオピニオン、エキゾチック診療にも対応。6院の連携で安心できる獣医療を届けます。