救える命のために手を尽くす、供血犬のいる動物病院
血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
- クレア動物病院 大阪府大阪市天王寺区
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- 田中 誠悟 院長
目次
当院は、輸血を必要とする患者さんへ血液を提供する「供血犬」のいる動物病院です。助けられる命は全力で救いたいという考えのもと、開業時から供血犬を飼育しており、現在は4頭が活躍しています。
また診療では、丁寧なインフォームドコンセントを常に意識しています。病気を理解し、治療の道筋が見えれば、オーナー様の漠然とした不安や迷いはなくなると考えています。納得して治療を進められるよう、治療方針を一緒に考えるプロセスを大切にしています。
IMHA(免疫介在性溶血性貧血)や腫瘍など、血液関連の疾患をもつ患者さんが多く来院されます。そのほかでは、他院で治療を断られた高齢の患者さんもよく来院されます。
最近では、「麻酔のリスクを理由にして、高齢の子の治療を行わない」という考え方が広まっているように思います。しかしリスクは本来、“危険”ではなく“危険度”を意味します。高齢の子に限らず手術には必ずリスクが伴いますが、それ以上に得られるものもあると思います。もちろん、オーナー様に必要な情報をすべて提供し、十分に協議することが前提ですが、その上でメリットがリスクを上回り、誰かがリスクを負うことで助かる命ならば、私は逃げずに立ち向かいます。
高度医療施設で様々な診療に携わった経験を活かし、セカンドオピニオンにも力を入れています。かかりつけ医での診断・治療に対する客観的な意見を必要とされていたり、提案された治療以外を模索されていたりするケースですね。ご相談内容は、腫瘍や腎不全などの慢性疾患の治療、安楽死の件などが多いです。
オーナー様が迷っているときは、ほとんどの場合、頭の中が未整理の状態です。整理を助けるために、まずはお話をお聞きし、診断理由や病気、予後について説明。可能な限りの治療の選択肢と、それぞれのメリット・デメリットをお伝えし、話し合いを重ねて最善の治療を一緒に考えていきます。
術中・術後の痛みを軽減するために、病気の種類や年齢に応じて麻酔や痛み止めを選択します。術後の状態管理には、酸素濃度と温度管理ができるICUを使用します。夜間は院内カメラを数時間おきに確認し、緊急時の対応にも備えています。
また医療事故防止策として、犬舎には名札を設置し、診療内容や入院中の様子も管理表に記録、オーナー様にお渡ししています。入院時には色々とご不安かと思いますので、見える化を図ることで安心していただきたいと思っています。
最近では、IMHAの輸血で来院されたオーナー様が印象的でした。患者さんは、10歳のトイプードルの女の子。来院時から緊急度の高い症状で、あらゆる治療を行っても厳しい状況のままでした。それでもオーナー様は「できることはすべてやりたい」という強い意志を示されたため、最後の選択肢として再生医療を提案しました。効果が出ない可能性についてもお伝えし、話し合いを経て治療を開始したのです。すると、一時的な状態の悪化もありましたが、投薬での調整を続けるうちに再び数値の改善が見られました。その後はなんと、散歩ができるまでに回復、本当に驚きの大きい症例でした。
正直なところ、再生医療による効果かどうかは分かりません。患者さんの生命力とオーナー様の強い思いが結実した治療だったと感じています。
私は、ペットを治療することはもちろん、人(オーナー様)も助けられる獣医師でありたいと思っています。その中で最近よく考えるのは、心と頭の整理は異なるものだということです。心の整理とは、ペットが亡くなったときの悲しみや寂しさといった感情の問題で、頭の整理は、診断や治療に関する理解です。重度のペットロスに陥ってしまう方は、その両方が整理されないままの状態であることが多いように思います。誰でも、心の整理には時間がかかります。しかし頭の整理ができていれば、ご自身の選択に疑問や後悔は残りにくく、現実を受け止めやすくなるでしょう。だからこそ、私は治療方針を決定するプロセスをとくに大切にしています。
当院ではセカンドオピニオンにも力を入れていますので、まずは今の不安や迷いをお聞かせください。しっかりと話し合い、納得のいく治療を一緒に創っていきましょう。
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血液系疾患患者のための輸血外来を設置。腫瘍や慢性疾患等のセカンドオピニオンにも積極的に対応します。
ペットと長く楽しく過ごせる治療を選択するために、高度な機器と技術で消化器型リンパ腫を診断します。
ペットにも起こる、腎不全と心腎関連症候群。細やかに状態を把握し、適切な治療を行う必要があります。