堀江 崇文院長 堀江 有美先生 堀江動物病院 | ドクターズインタビュー

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街の頼れる獣医たち vol.006
堀江動物病院堀江 崇文院長 堀江 有美先生
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JR宇都宮線古河駅から車で約7分。閑静な住宅街を通る道路脇に、薄茶色と水色のコントラストが映えた建物が見えてくる。壁には犬の足跡を模した大きなレリーフ。『堀江動物病院』の白を基調とした広々とした待合室には、診察時間が始まると同時にペットを連れた飼い主さんが駆け込んできた。明るく迎える院長の堀江崇文さんと奥様の有美さんは、2008年の開院以来、夫婦で地域のペットたちの命と健康を預かるホームドクターだ。ジャンルを問わず手腕を振るう崇文さんと、東洋医学の手法を駆使してペットの健康づくりを応援する有美さんの二人三脚だが、ペットの病院で鍼灸治療や薬膳療法を使うのはかなり珍しいという。大学の同級生だという堀江夫妻に、獣医師として目指すところや、動物へのあふれる愛について、じっくりとお話を伺った。(取材日 2017年3月3日)

珍しい東洋医学と西洋医学のW効果で手厚いケアを目指す

―診療のコンセプトをお聞かせください。

崇文先生:飼い主様が納得される診療を心がけています。内科外科問わず、幅広い診療方針をご提案し飼い主様と相談しながら、その子にとって良い治療を探しています。基本的に私からこの子の治療はこれしかない、と決めつけることはありません。内科的処置だけでよくなるのか、飼い主様が手術を希望されているのか、費用はどのくらいかけられるのか、等によりその子やご家族にとっての良い治療は異なります。まずはどのような治療を望まれているかお話しをお聞きした上で、治療の選択肢を複数提示し、それぞれのメリットとリスクをお伝えし診療方針を決定しています。急な病気やケガだったり、症状の悪化であったりすると飼い主様もご自分がどのような治療を望まれているかわからないこともありますので、まずはしっかりとお話しをすることを大切にしています。

―どのような症状で病院にくる子が多いですか。

崇文先生:アトピーや外耳炎などの皮膚疾患も多いですが、病気ではなく予防でくる子もいます。あまりこの症例が特に多い、ということはないですね。
有美先生:院長は外科手術を得意としていて、私は鍼灸をやっていますので、椎間板ヘルニアや骨折などの整形外科疾患の子も来院しています。整形外科疾患に対して手術をして終わりではなく、リハビリまでケアをすることができます。

―院長先生が西洋医学で、有美先生が東洋医学を担当されているのですね。

崇文先生:そうですね。私は外科や内科といった一般的な西洋医学を担当しています。現在は、整形外科や軟部外科を中心に勉強を続けています。特に肝臓・胆嚢疾患は、検査技術の進歩や治療法の確立により治る症例も増えてきました。症状が出るまでに時間のかかる病気なので以前は病気がみつかったときには悪化していて治すことは難しい病気だったものが、現在では治療をすることができるようになってきています。そういった新しい治療の勉強も日々続けています。
有美先生:私は鍼灸や漢方などの東洋医学を担当しています。獣医学科を卒業後に獣医師専用の東洋医学の学校に通い「中獣医師」の資格を取りました。今までとは違う術後のケアや治療の提案をできるようになりたかったんです。

―有美先生が東洋医学を学ばれたきっかけはあるのでしょうか。

有美先生:外科の症例が多いこともあり、その子たちに自分がなにをできるかを考えたことがきっかけです。院長は外科手術を得意としているので、私は術後のケアをよりしっかりとしたいと思いました。リハビリの勉強をはじめ、その一つとして理学療法や鍼灸の体験に参加したら面白かったんです。そこからはすぐに学校への入学を決めました。2年間鍼灸専門の学校に通い、中獣医師の資格を取りましたが、今もより専門的な別のコースに通っています。

―東洋医学と西洋医学を一つの病院で取り入れられているのは珍しいと思います。どのようなメリットがあるのでしょうか。

崇文先生:最近では東洋医学に特化した動物病院もできるようになりましたが、一つの病院で両方の治療を行っている病院は少ないと思います。東洋医学、西洋医学の両方の治療を取り入れることでのメリットは、治療の選択肢を広げることができることです。今までは薬を飲むか、手術をするかしかなかった治療の中に鍼灸を取り入れることができます。また西洋医学の治療が良いと思っていた患者さんが治療の経過の中で東洋医学のほうがより効果が認められることもありますし、逆に東洋医学を中心に治療をしていた子が西洋医学も取り入れたほうが治りが早い、ということもあります。臨機応変にその子に合わせた治療の選択肢を増やせることが良いですね。

ご家族と病院が一緒に治療にあたる、自宅でできるケアもお伝えする

―動物にも鍼灸は効果があるのですか。

有美先生:どの程度効果があるかはその子や病状よって差はありますが、効果があることが多いです。鍼灸が治療の際には、1、2回施術をしてから継続するかをご相談しています。もともとの痛みや辛さは客観的な判定は難しく、飼い主様や本人でないとわからないこともあります。ですので、まずは試しに行いその子にあっているか効果はあるかをご判断いただいています。1回の施術に時間がかかりますのでじっくりとお話しもできるので、飼い主様の満足度は高くリピーターの方が多いですね。
崇文先生:私のほうの診察室には嫌そうに入ってくる子が、鍼灸の診察室へは喜んで入ったりする子も多く見ますので、みんな気持ちがいいのだと思います。

―どのような施術になるのでしょうか。

有美先生:鍼灸を行う際は専用の診察室で行っています。1回の施術で1時間程度かかるので予約制です。施術中は飼い主様とずっと一緒ですので、わんちゃん達もリラックスしています。飼い主様になでてもらいながら行うことが多いです。鍼灸で使用する鍼は髪の毛ほどの太さで、刺すときに痛みはありません。知覚神経を刺激しないところに鍼を刺します。鍼を刺しているところがじんわり温かくなるような感じです。お灸も最近は香りつきのものもあり、よりリラックスして受けていただけていると思います。

―どういった症状の子が利用されていますか。

崇文先生:痛みや辛さを取ってほしい、という飼い主様が多いです。最近は、他で治らないと言われた方や手術を勧められた方がセカンドオピニオンとして来院されることもあります。整形外科疾患などでは、私のほうで画像診断等を行ったうえで、薬などの内科的治療と手術、鍼灸治療のそれぞれの治療の期待値をお話ししどの治療を行うか決めてもらっています。
有美先生:その子の基礎疾患や家庭環境によって手術ができないこともありますので、そういった子に鍼灸治療を行うことで症状が改善されると本当に嬉しいです。

―椎間板ヘルニアや骨折にも効果はあるのでしょうか。

有美先生:外科手術ができない子に鍼灸を行うことで傷みや麻痺が軽減されることもあります。椎間板ヘルニアで下半身麻痺の子が転院してきて、その子に鍼灸治療を行ったことがあります。その子は高齢なことと症状がでてから時間がたっていたこと、そして飼い主様の事情により外科手術ができませんでした。1か月ほどお預かりをし毎日鍼灸治療を行ったら、みるみるよくなったんです。1か月後には走れるようになるまで回復しました。
崇文先生:外科手術を行ったあとのリハビリとして鍼灸治療を取り入れることで、回復が早くなることも多いです。

―鍼灸室だけでなく、トリミング室もあるのですね。

崇文先生:トリミング室は完全別室として病院横に増築をしました。最近では慢性の皮膚疾患で薬だけでは症状が良くならない子も増えています。薬以外のケアが大事になってきているんです。
当院のトリマーはただシャンプーカットをするだけでなく、スキンケアの勉強をしています。アトピー性皮膚炎や脂漏症など、ちゃんとケアをすればひどくなる前に維持できる子も多いです。慢性皮膚疾患の子には、皮膚の状態を定期的にチェックしご家庭で正しいケアを日頃から行い、薬を飲まなくても皮膚の状態が悪くならないことを目標にお話ししております。また、トリミング時に皮膚の状態のチェックとご家庭でできるケアをお伝えしています。

迷える飼い主が気軽に相談し、要望に応えられるホームドクターになりたい

―診察で大事にしていることは何ですか?

崇文先生:動物は犬と猫に絞っています。手広くやるとどうしても浅くなりがちだと思っております。皮膚科、泌尿器科、予防関連など、ジャンルはさまざまです。何でも屋さんみたいですが、最先端の獣医療を学ぶのはもちろんですが、ホームドクターならではの「深さ」を追いかけていきたいと思っています。そこで大事になるのは、飼い主様とのコミュニケーションだと思います。飼い主様が治療で何を望まれているのかをできるだけ詳しく把握しないといけません。痛みを緩和してほしいのか、最先端の治療がご希望なのか。費用も通院も最小限にしたいと考える飼い主様もいます。コミュニケーションを積み上げ、本当の意味で納得する獣医療を提供したいと思っております。

―西洋医学やトリミングなど病院の特徴が多いですが、他にも院内の特徴はありますか。

崇文先生:待合室を大きく設計しています。大型犬の子もきますし、診察をお待たせしてしまうこともありますので、少しでもストレスを感じないようにと思い作りました。また外の待合室やドッグランもあります。狭いところでじっとしていると待っている間に嫌になってしまいますからね。
開院時にはなかった機械も少しずつ増やしています。最近では内視鏡やホルモンの測定機器も導入しました。消化器疾患では外から見ただけでは原因がわからずお腹の中を見ることで原因がわかることも多いです。内視鏡を使用する際は全身麻酔をしなければいけませんが、開腹手術をしなくて検査ができます。ホルモンを測定する機械も以前は外注に出し検査結果が返ってくるまでに2、3日かかっていたものが数十分で結果がわかるようになりました。アジソン病など緊急性の高いホルモン性疾患にも迅速に対応ができますし、なにより当日のうちに診療方針が決められますので、飼い主様の来院や心労のご負担が減らせたことが嬉しいです。

―最近ではペットの病気についてもネットで情報が入る時代ですが、飼い主様に変化はありますか?

崇文先生:最近はいろんなネットサイトに情報があふれていまして、みなさん勉強されています。「この症状とこの症状があるからこの病気だと思います。薬を飲んだらこんな副作用があるらしいけど大丈夫ですか」と尋ねてこられます。解決法が見いだせないままで情報を抱えると、袋小路にはまって、心に悩みばかり抱えてしまっているのですね。そうなると苦しむだけでどうにもできません。そうした飼い主様の心を解きほぐしてあげるのも、私たち獣医師の仕事のひとつです。

―ケアするのはペットだけではなく、むしろ飼い主さんでもあると。

崇文先生:そうですね。リスクや副作用がない治療は存在しませんし、すべての治療がうまくいくとも思いません。ですので、それぞれの治療での期待値、効果とリスクのお話しをします。ふつう、胆嚢疾患で管が詰まってしまったら手術しかありませんし、骨折しても手術しかありません。でも、飼い主様の希望は手術ではないかもしれない。15歳を超えていたら、寿命はあと1年くらいかもしれませんし。正解と言われている治療を押し付けるのではなく、ペットは何が辛いのか、一緒に何ができるか、を考えていきたいと思っております。

―先生のペットに対する愛情がよくわかりました。最後に読者の方へメッセージをお願いします。

崇文先生:すべての飼い主様にお願いしたいのは、なんでも相談できるかかりつけのホームドクターを見つけてほしいんです。ペットにどうなってほしいか、またご自身にはどんな事情があるのか、すべて打ち明けた上で、その話を基に治療計画を組み立てていくことができるドクターをみつけてほしいです。自分で調べすぎて答えが出せなくて精神的に悩まれたり、納得するまで病院をいくつも渡り歩かれたりする方も多いですが、その時間はペットにとっては状況を悪化させる可能性もあります。困ったときは、私たち獣医師をうまく使ってほしいなと思います。

―有美先生もお願いします。

有美先生:ペットに東洋医学を適用するということ自体、あまり知られてはいないことかもしれません。東洋医学の考え方は自然治癒力を高め、体を本来の姿に戻すこと。さらに病気を予防することです。私たちの役目はペットの健康維持です。最期をみとるまで、家族が一緒にいられるようにお手伝いしたい。だから「病気になったから」ではなく、「健康に過ごさせてあげたい」という飼い主さまも、ぜひ相談においでください。

東洋医学と西洋医学のコラボ、夫婦で一緒にホームドクター

堀江動物病院

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電話
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