ペットのため学び続ける、皮膚とエイジングケアのスペシャリスト
長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
- 北川犬猫病院 東京都板橋区南常盤台
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- 後藤 慎史 院長
目次
幼稚園のころには獣医師を目指していました。父と祖父も獣医師なのですが、二人の働く姿を見ていたからなのか、自然と「獣医になろう」と思っていました。幼い頃から父や祖父に連れられ、大学や愛護センターで動物の世話をしたりしていましたね。
実は私の弟も獣医師なのですが、家族はみな公務員として勤務しており、私だけが動物病院で働いています。そのような環境で、動物病院以外での獣医師の仕事を幼い頃から見てきましたが、私は動物の治療に専念できる動物病院の現場に魅力を感じ、臨床獣医師になりました。
ちなみに、私の息子も幼稚園生のうちから「獣医になる」と言っているので、動物が好きなのは「家系」のようです。
生まれも育ちも下野で、「地元で開業をしたい」という思いが強くあったからです。
神奈川県の大学で学び、大学時代からお世話になっていた名古屋市の動物病院で6年ほど勤務をしてから、下野に戻ってきました。下野の土地の雰囲気が好きですし、どんなペットがどんな環境で飼われているかもわかりますから、その子にあわせた治療ができると思っています。
やはり犬や猫が多いですが、他にもウサギやハムスター、鳥など、様々な患者さんがいらっしゃいます。病院のロゴに動物を描いているのですが、そこにいる動物(犬・猫・うさぎ・ハムスター・小鳥)はすべて診ています。
犬猫専門病院にしてしまうと、小動物の飼い主様が連れてこられる病院が限られてしまうので、当院では小動物でも「治療できるのか」「良い状態なのか」「悪い状態なのか」を可能な限り飼い主様にお伝えし、必要に応じて専門の先生を紹介するようにしています。
「一次診療としてやれることはすべてやる」をモットーに、子犬・子猫からセカンドオピニオンの患者さんまで幅広く診察しています。循環器と泌尿器は二次診療にも対応しています。
循環器を専門に学んでいますので、循環器疾患の子が多いですね。循環器疾患では、一見元気そうに見えるのに薬を処方されることや、薬を生涯飲み続けなければいけないことも多く、飼い主様もご不安になるのだと思います。
「高齢になっても健康的に過ごせることをサポートできるようにしたい」と思い、循環器を専門に学んできましたので、飼い主様の不安を解消した上で、納得して治療を受けていただきたいと思っています。
循環器疾患とは心臓と血管の病気です。犬では僧房弁閉鎖不全症、猫では肥大型心筋症が多く起こります。
「心臓に雑音がある」という言葉を聞いたことがある人も多いと思いますが、それも僧房弁閉鎖不全症で起こる症状の一つです。高齢になると、血液を送り出す時に開いたり閉じたりする心臓の弁が変性してしまい、ピタッと閉じなくなることで血液が逆流し、雑音が聞こえるようになります。
猫の肥大型心筋症では、心筋が厚くなることで血液が送りにくくなり、血栓ができやすくなります。
犬でも猫でも、飼い主様が病気に気づくきっかけとして多いのは、活動性がなくなってきたことです。わんちゃんの場合は日頃から運動をする機会が多いので、「散歩中に疲れやすくなった」「家でおとなしい」など、早いタイミングで飼い主様が気づくことが多いですね。猫ちゃんでは、特に普段からおとなしい子や調子が悪いことを隠す子の場合は、発見が遅れるケースもあります。
症状が出る前に健康診断などで聴診により疾患を発見できることもある一方で、呼吸困難など症状が悪化してしまった後では検査が難しい疾患もあるので、定期的に病院にいらしていただきたいと思います。
心雑音が聞こえたからといってすぐに治療を開始するわけではなく、まずは検査をして心臓の機能がどの程度落ちているかを調べます。心電図による不整脈のチェック、レントゲンによる肺と心臓の大きさや病変の確認、血圧測定など、検査の項目は様々です。なかでもエコー検査は一番データとしての有用性が高く、心臓の壁の厚さや動きに加えて、血液の流れも見ることができます。
これらの検査をした結果として心機能に問題がなければ、心雑音があっても薬を飲まずに経過観察をすることもあります。他院では心雑音が聞こえるとすぐに薬を処方されるケースもあるようですが、「飲まなくてよい薬を飲んでいる」「薬の量が合っていない」ということもあり得るので、当院では検査を念入りに行っています。
数値データを飼い主様にお渡しして説明をしています。レントゲンやエコーといった画像診断も飼い主様と一緒に見ることができますので、エコーを見ながら「ここの弁が閉じきっていない」や「心臓の壁が何ミリあり通常より厚い」といった専門的な内容を分かりやすく説明することができます。心臓が悪い場合には半年に1回ペースでの検査をお勧めしていますが、前回と比較したデータもファイルにまとめてお渡しをしています。
また、検査結果をもとに薬の種類や量を決定しています。データに基づいて「この数値になっているからこの薬を飲みましょう」とお伝えすることで、飼い主様に納得して治療に参加していただけるので、経過も良いのです。
わんちゃん猫ちゃんは自分の症状を言葉で話せないので、数値で評価するしかないという点もあります。「食欲」や「咳の回数」の変化は飼い主様も分かりますが、心臓の機能自体の評価は検査をして数値化しないと判断が難しいことが多いのです。
飼い主様のお話をよく聞くことです。飼い主様のお話を聞くと、診察では見られない他の症状が出ていることが判明したり、違う病気が疑われたりすることもあります。病院に来ると動物が緊張してしまい、症状が止まったり、隠そうとしたりするんですね。家では咳をしていたのに診察室では一切しない、痛そうだから来院したのに診察台ではケロッと普通にしている、といったことも多々あります。
普段からペットに接している飼い主様が「おかしい」と感じたからには、何らかの異常があるはずです。初診の方や、初めての症状が出た場合には、診察に30分以上かけて、しっかりと話を聞いて検査をします。根拠のない治療は飼い主様も不安に思われますし、信頼関係も築けません。「なぜこの薬を飲むのか」「なぜこの検査をするのか」など飼い主様に納得してもらうことで、良い治療ができると考えます。
薬を処方する際は、「成分名」「製品名」「服用方法」「薬の効果」などを載せた説明書も一緒にお渡ししています。それが無いと、時間が経って飼い主様が何の薬を飲ませているのか忘れてしまったり、間違えた分量を飲ませてしまったりすることがあるからです。
このようなことは人間の医療現場では当然のことですが、獣医療ではまだまだ浸透していません。妻は人間の病院で臨床工学技士として働いていたので、進んでいる医療現場を教えてもらっています。また、透析を行う際にも、医療機械の操作はプロである彼女に任せています。他に、彼女のアイディアで予約システムやTポイントカードも導入しました。
開業当初から夜間救急の受付をしています。現在、24時間対応の動物病院が栃木県内にはないので、「困っている動物がいるなら助けたい」と思ったのです。夜中の1時でも明け方でも、飼い主様に連れてきていただければ対応しています。心臓病の子で肺水腫が出ているようなケースでは、診察開始時間を待たずに酸素室に連れていき治療をしたいですしね。病院の2階は宿直室になっているので、入院や急患の子を夜通し診ることもあります。
一次診療と二次診療の中間、「1.5次診療」を目指し、一歩進んだ知識や技術を提供できる病院にしていきたいと思っています。
また、この地域での動物病院同士の連携をより強固にしていくことも目標です。私の専門は循環器ですが、それぞれの病院で強みがあります。「この病気であればこの先生を紹介する」「心臓病であれば当院が診る」といった形で、飼い主様とペットが身近でより良いサービスを受けられる環境を作り上げたいと思っています。
いろいろなスタイルの病院があるので、飼い主様には自分にあった病院を選んでほしいと思います。ペットの病気が治ることが一番大切ですが、飼い主様ご自身が納得できる病院に行くことをお勧めします。治療に関して分からないことや不安なことがあれば、獣医師は説明する義務があるので、納得できるまで病気の説明をしてもらってください。
当院では、飼い主様のお話をしっかりと聞き、データの数値化を含めて分かりやすく説明をした上で治療することを心がけています。飼い主様の不安や疑問を残さずに治療を進めていきたいのです。インフォームドコンセントは、獣医療では最近になって意識されるようになってきました。飼い主様に納得していただくことが、より良い治療の提供につながると信じています。
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長年信頼を寄せられている皮膚科系疾患の治療に加え、ペットのエイジングケアにも力を入れています。
飼い主様だけでなく、地域の獣医師からも紹介先として頼りにされる、外科治療専門の動物病院です。
発症後の致死率は9割を超える猫伝染性腹膜炎(FIP)。豊富な治療実績を基に、難病から愛猫を救います。