小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター 大竹 大賀 先生 | ドクターズインタビュー

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頼れる獣医が教える治療法 vol.039

犬の特発性てんかん~国際基準に準拠した診断と治療~
脳・神経系疾患
犬の特発性てんかん~国際基準に準拠した診断と治療~
小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター
大竹 大賀 先生
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高田馬場駅から徒歩6分、デザイナーズマンションのようなガラス張りの建物が見えてくる。「小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター」は全国でも数少ないMRI検査と脳波検査を実施する病院だ。てんかんは発作を起こす病気として知られるが、発作を起こす病気は複数あり、どちらの検査も診断に欠かせない。特に7歳以上で初発の発作の場合は、脳腫瘍などすぐに治療をするべき病気であることも多く、正しい早期診断が重要だ。診断では検査機器を用いるだけではなく、飼い主からの話や発作時の様子の撮影も診断の助けとなる。「発作の回数を減らし人生の質を高めるために相談してほしい」と話す大竹大賀先生に、てんかんの診断と治療について話を伺った。(取材日 2020年10月13日)

MRI検査、脳波検査による適格なてんかんの診断。動画も診断に有効です

― てんかんとはどのような病気でしょうか?

てんかんは大脳に機能的な問題が生じ発作を繰り返す病気です。原因の特定に至らないものを特発性てんかんや原因不明のてんかん、脳腫瘍や脳炎など大脳の病気が原因となるものを構造的てんかんと言います。犬では特発性てんかん、猫では構造的てんかんが多いですね。
大脳の一部もしくは全体が過剰に興奮することで発作が起こり、異常がある場所により症状は異なります。たとえば運動をつかさどる前頭葉で異常が起こると手足がピクピクとけいれんしたり、視覚をつかさどる後頭葉で異常が起こると幻覚が見え、なにもない空中を噛むようなハエ噛み行動と呼ばれる動作を起こしたりします。多くの場合は2,3分で発作は収まりますが、30分以上発作が続くケースや意識をなくしてしまうような重篤な症状を起こすこともあります。

― 特発性てんかんの診断はどのように行うのでしょうか?

当院では国際基準にのっとり診断を行っています。発作を起こす病気はてんかん以外にもあるので、てんかん発作なのか、脳以外に原因となりうる病気はないのか、治療が必要であるかを判断するために検査を行います。
診断は3段階に分かれます。1段階目は飼い主様への問診や血液、尿、X線、超音波検査などを行い、発作を起こしうる内臓の異常がないかを確認します。可能であれば発作時の動画をお持ちいただけると良いですね。この段階で脳の病気が疑われることや、感染症、中毒といった原因が判明することもあります。2段階目はMRI検査と脳脊髄液検査で、脳に異常があるかどうかを調べます。3段階目が脳波測定です。1段階目と2段階目の検査は特発性てんかん以外の病気の可能性を除外していく検査であり、特発性てんかんを診断するための唯一の方法は、脳波検査により特徴的な脳波を検出することです。

― 小滝橋動物医療センターではMRI検査や脳波検査もできるのですね。

当院では3段階目までの検査をすべて行っています。この第2高度医療センターは、MRI検査を行うために開設しました。脳波検査ができる施設は国内でも大学病院を除くと数か所しかありません。てんかんや椎間板ヘルニアなどの神経病にただちに対応ができるよう、設備とスタッフが整っています。
てんかんの診断をする際に、どこまでの検査を行うかは飼い主様と相談をして決めています。脳波検査では鎮静が、MRIや脳脊髄液検査では全身麻酔が必要となりますので、費用面や体力面などを考慮し決定します。てんかんは一生涯付き合っていく可能性がある病気なので、検査をして確定診断することが望ましいですが、できる範囲の検査で治療を進めることもできますのでご不安なことはご相談ください。

てんかんの治療は続けることが大事。突然止めると悪化することも

― てんかんの治療方法について教えてください。

内科的治療を行います。治療の目的は、発作の回数を減らし生活の質を上げることです。複数ある抗てんかん薬の中から、その子にあった薬の種類や量を決定します。治療開始時や薬の用量を変更したときは、10日から2週間後に抗てんかん薬の血中濃度を含めた血液検査や身体検査を行い、安定してきたら半年に1回程度の通院となります。薬の種類が増えると動物も飼い主様も大変なので、1種類の薬でコントロールすることが理想ですね。獣医療では治験段階ではありますが、ヒトのように外科による治療も始まっています。

― 発作が起きたことがある子は全員治療が必要なのでしょうか?

「半年の間に2回以上の発作」や「5分以上続く発作:重積発作」「1日に複数回の発作:群発発作」「重篤な発作後兆候がある」「大脳に明らかな疾患がある」のいずれかがあることが治療開始の目安です。若齢ではじめて発作を起こした子の場合では、治療をせずに経過観察することもあります。てんかんは治療をしないと悪化しやすい病気なので、適切なタイミングで治療をスタートすることが大切です。

― てんかんの治療の際に気をつけていることはありますか?

図やイラストを描いたりヒトでの事例を伝えたりするなど、分かりやすい話を心がけています。抗てんかん薬は基本的にはずっと飲み続けないといけない薬ですが、投薬を急に中止してしまうと発作がより悪い状態になってしまうこともあります。治療を続けてもらえるよう、しっかりと検査や治療内容の相談をしています。また7歳以上の子では特に積極的に検査を行っています。中高齢では脳に病気があることが多く、はじめての発作だからと様子を見てしまった結果、脳腫瘍や脳炎が進行して治療が間に合わなくなることもあるのです。当院では開頭手術による脳腫瘍の治療も行っています。早期に治療を開始することで予後が良くなりますので、発作がありましたらご相談ください。

ドクターからのメッセージ大竹 大賀 先生

てんかんは症状に気づけないことや、気づいたときには激しい症状が出ており不安に思われることが多いと思います。ご不安がありましたら最寄りの獣医師にご相談ください。検査が必要かどうか、治療が必要かどうかの判断ができます。また、当院では椎間板ヘルニアに対する低侵襲手術(PLDD)や筋電図・神経誘発電図による神経筋疾患の診断も行なっております。神経病に悩む動物さんや飼い主様の助けになるように日々研鑽に努めています。

犬の特発性てんかん~国際基準に準拠した診断と治療~
犬の特発性てんかん~国際基準に準拠した診断と治療~

小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター

場所
東京都豊島区高田3丁目20−11 MAP
電話
03-5958-5512
診察動物
イヌ ネコ
診察領域
歯と口腔系疾患 眼科系疾患 皮膚系疾患 脳・神経系疾患 循環器系疾患 呼吸器系疾患 消化器系疾患 肝・胆・すい臓系疾患 腎・泌尿器系疾患 内分泌代謝系疾患 血液・免疫系疾患 筋肉系疾患 整形外科系疾患 耳系疾患 生殖器系疾患 感染症系疾患 寄生虫 腫瘍・がん 中毒 心の病気 けが・その他 軟部外科

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