頼れる獣医が教える治療法 vol.039
てんかんは大脳に機能的な問題が生じ発作を繰り返す病気です。原因の特定に至らないものを特発性てんかんや原因不明のてんかん、脳腫瘍や脳炎など大脳の病気が原因となるものを構造的てんかんと言います。犬では特発性てんかん、猫では構造的てんかんが多いですね。
大脳の一部もしくは全体が過剰に興奮することで発作が起こり、異常がある場所により症状は異なります。たとえば運動をつかさどる前頭葉で異常が起こると手足がピクピクとけいれんしたり、視覚をつかさどる後頭葉で異常が起こると幻覚が見え、なにもない空中を噛むようなハエ噛み行動と呼ばれる動作を起こしたりします。多くの場合は2,3分で発作は収まりますが、30分以上発作が続くケースや意識をなくしてしまうような重篤な症状を起こすこともあります。
当院では国際基準にのっとり診断を行っています。発作を起こす病気はてんかん以外にもあるので、てんかん発作なのか、脳以外に原因となりうる病気はないのか、治療が必要であるかを判断するために検査を行います。
診断は3段階に分かれます。1段階目は飼い主様への問診や血液、尿、X線、超音波検査などを行い、発作を起こしうる内臓の異常がないかを確認します。可能であれば発作時の動画をお持ちいただけると良いですね。この段階で脳の病気が疑われることや、感染症、中毒といった原因が判明することもあります。2段階目はMRI検査と脳脊髄液検査で、脳に異常があるかどうかを調べます。3段階目が脳波測定です。1段階目と2段階目の検査は特発性てんかん以外の病気の可能性を除外していく検査であり、特発性てんかんを診断するための唯一の方法は、脳波検査により特徴的な脳波を検出することです。
当院では3段階目までの検査をすべて行っています。この第2高度医療センターは、MRI検査を行うために開設しました。脳波検査ができる施設は国内でも大学病院を除くと数か所しかありません。てんかんや椎間板ヘルニアなどの神経病にただちに対応ができるよう、設備とスタッフが整っています。
てんかんの診断をする際に、どこまでの検査を行うかは飼い主様と相談をして決めています。脳波検査では鎮静が、MRIや脳脊髄液検査では全身麻酔が必要となりますので、費用面や体力面などを考慮し決定します。てんかんは一生涯付き合っていく可能性がある病気なので、検査をして確定診断することが望ましいですが、できる範囲の検査で治療を進めることもできますのでご不安なことはご相談ください。
小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター
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