頼れる獣医が教える治療法 vol.026
病気を進行させない治療を実施しています。僧帽弁閉鎖不全症は5段階のステージ(A・B1 ・B2・C・D)に分けられますが、「心雑音がある」とはじめて指摘されるのはステージB1、B2がほとんどで、この段階では臨床症状は出ていません。「 散歩からすぐに帰りたがる」「食欲が落ちた」などの症状が出ると ステージCまで進行しているかもしれません。この段階まで進行すると、肺水腫や高血圧症による血栓など命に関わる症状が生じるため、「肺水腫にさせない」「ステージCまで進行させない」治療が重要なのです。
当院ではICUや血栓を溶かす薬などを揃えているので重篤な子にも対応できますが、まずは重症化させないことが大事です。わんちゃんに苦しい思いをさせたくないのはもちろんですが、ステージが進行すると治療費が高額になってしまい、飼い主さんの経済的理由により治療の選択肢が少なくなってしまうという事情もあります。ですから、病気を早期発見し、安価なお薬のみでコントロールすることが、当院のような一次診療病院の役割と言えるでしょう。
飼い主さんに病気のことを理解してもらったうえで、治療方針の選択をしていただきます。心雑音がみられた場合、考えられる病気・現状・検査・治療法・余命・治療費など、飼い主さんに説明することは多岐にわたります。このような正しい情報がないと飼い主さんは治療方針を決定することができません。とは言え、こちらがいくら難しい言葉を並べて説明したつもりになっていても、飼い主さんが理解されていなかったら説明していないことと同義です。ですから、飼い主さんがしっかりと理解をして考えたうえで治療方針を選択してもらえるように、病気についてのオリジナル動画や検査画像をお見せするなど、分かりやすい説明を心がけています。
当院ではエコーやレントゲンなどの検査により、適切な治療開始時期や薬の種類を決定しています。しかし、ご家庭の事情や経済的理由で検査や通院が難しい方もおられることでしょう。そのような場合には、病気の進行に少しでも早く気づくために家庭での注意点をお伝えすることもあります。「治療をしないなら当院ではなにもできません」で終わりではなく、「Do my best」の気持ちで、現状でできるベストな方法を提案しています。
一番印象に残っている子は決められませんが、病気になった子を助けられた時はいつも嬉しいですね。獣医療は日進月歩ならぬ日進日歩で進んでいます。10年前は治せなかった病気でも、検査機器の発達で早く診断がつくようになったり、よい薬ができて治療ができるようになったりしています。特に循環器の治療はまだまだ発展途上で、「1年前に最新と言われた治療法でも今はもっと良い治療法がある」という分野です。1匹でも多くの子に元気でいてもらうために勉強を続けています。
亀山動物病院
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最先端の設備と獣医師の豊富な経験が、難易度の高い膝蓋骨脱臼手術を可能としています。
エコー検査で心臓病を正確に診断。早期の検査が重症化を防ぐ治療に繋がります。
骨折や脱臼を治すだけではなく、痛みを抑えて術後の生活のしやすさまで考慮した整形外科治療を提案します。