犬の膿皮症・耳道閉塞、原因と治療法
犬に多い病気、膿皮症と耳道閉塞。「抗生物質に頼らない」「なるべく切らない」治療について語ります。
- 三枝 早苗名誉院長
当院は、近隣の方が気軽に立ち寄れる「かかりつけ医」として約70年前に開院しました。前院長の三枝先生の就任後は、「皮膚と耳の専門医」として全国各地からも患者さんに来ていただいています。診療対象は犬と猫、受診する子の8割以上はワンちゃんで、小型犬から大型犬まで幅広く対応しています。また、疾患別では全体の8割以上が皮膚と耳の疾患です。当院の診療モットーは「病気を治すため粘り強く治療を行う」こと。これは初代の院長である北川先生の頃から変わらずに受け継いでいる考えです。
前院長のお父様である北川米蔵先生が開院した当院は、2007年に「北川犬猫病院」としてリニューアル。レンガ調の外観はその時にデザインしたものです。私は2014年からこちらで診療を始め、2019年10月に病院を継承させていただきました。三枝先生には引き続き名誉院長として診療にご尽力いただいていますが、これまで大事にされてきた思いも引き継いでいきたいと考えています。
今後は、これまでの当院の診療を継続しつつ、飼い主さまの役に立つ新しいものも取り入れていきたいと考えています。その一つがSNSです。2019年からは新たにLINEを利用したサービスを開始しました。当院からの情報発信のほか、入院中の子の動画提供など飼い主さまとのコミュニケーションにも活用しています。飼い主さまから気軽にご質問をいただく、普段診ている子のお家での様子を送っていただくなど、とても役立っています。また、2020年5月からウェブ予約も導入しましたので、スマートフォンやパソコンからご予約いただけます。
少しでも普段と違う様子があれば、まずはメールやLINEでメッセージをお送りください。必要があれば、お電話で詳細にお聞きいたします。診療はお待たせしないよう予約優先で行っていますので、急な体調不良の際にも事前にお電話をいただくとスムーズに受診いただけます。また、当院は土日も診療。受付時間内に来院できない方はご相談くだされば可能な限り対処いたします。ワンちゃん・ネコちゃんの健康管理でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
特に多いのがアレルギー性皮膚炎や外耳炎のご相談です。原因はさまざまで、アレルギー性皮膚炎では環境中のアレルゲンのほか、ノミやフードに含まれる成分に反応するケースがあります。外耳炎に関しては、自分で掻いてしまうことのほか、耳の構造も要因の一つになります。耳の奥に異物が入ってしまうとなかなか外に排出されにくいため、異物の混入が外耳炎を引き起こすことがあるのです。
まずは問診を行い、必要に応じてオトスコープを用いて検査・診断を行います。診断のポイントは「動作」「見た目」「臭い」の3つです。「動作」はかゆみ動作(かいたり舐めたり耳を振ったり)をしているか、「見た目」は耳の中の汚れや赤み、「臭い」は普段との違いなどを観察します。この3つのポイントは普段の様子でも分かることですので、飼い主さまには「いずれか一つでも当てはまればお電話をください」というお話をしています。
お薬や生活指導で症状の改善を図るほか、皮膚疾患では薬浴やシャンプー療法も用います。耳の治療ではオトスコープで中耳洗浄や異物の除去、腫瘍の除去などを行うことにより疾病の改善が見られるケースも数多くあります。必要に応じて手術も行いますが、超音波手術システムを使用するなど体への負担が少ない治療を行い、ペットの生活の質を下げない治療を目指します。また、治療に際しては検査画像や動画をお見せして、事前に丁寧なご説明を行います。飼い主さまに病気を正しく把握して、安心していただいてから治療を開始します。
ペットの様子が普段とちょっとでも違うと感じたら、まずはお気軽にお問い合わせください。早めのご相談が病気の早期発見に繋がるかもしれません。当院では皮膚・耳疾患の経験豊富な医師が在籍し、その子に合わせたオーダーメイドの治療を心がけています。また、併設しているトリミングサロンでは皮膚病など疾患に合わせたトリミングも可能です。飼い主さまとペットがより良い生活を送れるように、より良い選択肢をご提案したいと考えています。
北川犬猫病院
ストレスにも関連して発症する、猫の特発性膀胱炎。緊急性が高いケースもあり、速やかな受診が大切です。
飼い主様の大切なペットを“治療する喜び”が原動力、様々な内視鏡を駆使し正確な診断と治療を目指します。
高度な獣医療を町の動物病院で受けられるよう専門医がチームを組み、多くの選択肢を提供します。