画像診断から確実な診断をつけることを目指して実践しています。もちろん薬や注射のみで治ってしまうことも多くありますが、なかなか治らない下痢や吐き気、慢性的な肝酵素の上昇などがみられる場合は画像診断を提案することがあります。吐き気という症状に対して、本当は臓器に問題があるのに「薬を飲んで様子を見よう」と診断をすれば、動物は苦しい時間を過ごすことになります。原因がわからなければ飼い主さんも心配ですよね。画像診断を行うことで「臓器に疾患があって症状がでている」「臓器には問題がない」と正しい診断をつけることができるのです。
画像診断では主に超音波、内視鏡、腹腔鏡を使用しています。超音波は心臓用と腹部用に分かれていますが、心臓用は心臓の動きや血流などを撮ることができ、心雑音があったり不整脈があったりした場合にレントゲンや心電図と組み合わせて使用します。腹部用は、吐いたり下痢をしたりしている場合に胃腸だけでなく腹部の各臓器に異常がないかを調べるために使用することもありますね。他には誤飲や腸閉塞の疑いなどがある場合、腸炎や腫瘍などの可能性がある場合などにも使います。腸の厚みや管轄しているリンパ節の腫れも診ることができますので、胃や腸の内部を観察することのできる内視鏡などの詳しい検査に進むかどうかを判断するために超音波検査を行うことも多いですね。
腹腔鏡は、5mm程度の穴からのカメラをお腹の中に挿入して臓器の状態を確認できる機器で、ヒトの医療で目ざましい発展を遂げて検査や手術に用いられるようになりました。当院では主に避妊手術と、肝臓を中心とした臓器の検査で使用しています。避妊では、従来の方法に比べて低侵襲(痛みが少なく動物の負担が少ない)で手術が行えるようになりました。
また、今までは血液検査と超音波検査でしか評価することができなかったお腹の臓器を直接観察して一部を採取することで確定診断することが可能になっています。
内視鏡・腹腔鏡による検査や治療には全身麻酔が必要ですので、これらの検査・治療が本当に必要なのか様々な角度から慎重に検討しています。
確かに飼い主さんの中にも「そこまで検査しなくてもいい」と画像診断に対してネガティブなイメージを持つ方もおられます。ですが、画像診断を行い確定診断することで適切な治療ができるようになり、その結果動物たちの負担の軽減にも繋がります。
例えば、慢性的な胃腸病や肝臓病で診断が不明なまま度重なる食事の変更や薬の調整を行うことは、飼い主さん・動物の負担が大きいものです。現在では、画像診断によって適切な食事や薬の選択が可能になり、飼い主さんや動物の負担を減らして治療効果を上げることができるようになりました。
また、以前であれば腸閉塞が疑われる場合にはバリウムを飲ませてレントゲンを撮り、詰まっている部分を判断していました。動物の鼻からバリウムをチューブで入れるのですが、気持ち悪くなり吐いてしまうこともありますし、30分、1時間ごとにレントゲンを撮る必要があるので、動物にとって負担が大きい検査でした。しかし、現在では超音波検査の精度が上がっていますので、バリウムを飲ませることなく容易に診断することができ、速やかに治療に進められるようになりました。
カトウ獣医科クリニック
見落とさないための丁寧な診察。院長常駐で夜間診療にも対応している、清潔感あふれる動物病院です。
超音波は痛みのないリアルタイムの体内が分かる検査。診療の可視化で飼い主と三位一体の治療につなげます。
治療可能な病気はすべて治してあげたい。予防から内視鏡手術まで対応するホームドクターです。